福井今季初勝利「仲間を信じて」
「広島1-0中日」(17日、マツダ)
ベンチに座りながら両手を握り、広島・福井は祈るように戦況を見つめた。「頼む」-。九回2死二、三塁。左翼手・鈴木誠がボールをつかむと、ようやく笑みがこぼれた。2試合目の登板で手にした今季初勝利。攻めの投球で相手を圧倒した。
ハイライトは七回無死一塁。ナニータに、初球から連続でボール。マウンドに自然と輪ができた。「あれで落ち着けた」とツーシームとフォークを軸に、最後は高めの直球勝負で空振り三振。続くエルナンデス、高橋周も三振に斬った。
「最後はヒヤヒヤでしたけど、仲間を信じて待ちました」。登板前には調整方法を変更。通常はブルペン後に着替えなど一呼吸を置く。だが「立ち上がりをしっかり入れるように」と、この日は肩を休めることなく、初回のマウンドに立った。
前週は雨の影響で登板が飛び、2軍戦を挟んでの登板にも「僕は6番目。悔しさがないわけじゃないけど、与えられたところでしっかり投げるだけ」と言い切った。94球で7回7安打無失点。チームの連敗を止め、勢いを呼ぶ粘投だった。