広島3連勝!崖っぷち松山が千金V弾
「交流戦、オリックス1-2広島」(31日、京セラ)
反攻を告げる3連勝じゃ-。息詰まる投手戦の中、広島・松山竜平外野手(29)が同点の八回、決勝の2号ソロを放った。久々のスタメン出場に燃えたアンパンマンがやってのけた大仕事。チームは劣勢をはね返し、今季3度目の3連勝。順位は依然最下位だが、5月を14勝12敗の勝ち越しで乗り切り、巻き返しの足がかりをつくった。
アンパンマンがヤッターマンになった。1-1の八回、先頭の松山が佐藤達の直球を捉えた。2球で追い込まれながら、粘ってカウント2-2に立て直した5球目だった。打球は大きな弧を描き、右翼席に吸い込まれた。
松山は二塁を回ったところで大きく手をたたき、野球少年のように「やった~」と叫んでベンチに駆け戻った。鯉党の大歓声とナインの祝福が心地よかった。「初めていい仕事をした。いい感触だったので『入ってくれ』と思いながら走った。福井が頑張っていた。次につなげたかった」と声を弾ませた。
意地を見せた。5月22日・ヤクルト戦(マツダ)以来、8試合ぶりのスタメン出場。エルドレッド、シアーホルツが好調で、丸を軸とした外野3人が固まっていた。一塁には4番・新井が座る。出場機会が激減していただけに「気持ちは人一倍入っていた。ヒットが出なかったら(2軍に)落ちるだけ」と、気合を入れていた。
2号決勝弾。2打席目までは連続三振だっただけに、チームにとっても、松山にとっても大きい一発だった。
チームは六回まで1安打12三振の劣勢をはね返し、昨季まで7連敗中だったオリックスに3連戦3連勝。5月最終戦を白星で飾り、14勝12敗の勝ち越しで締めた。緒方監督は「松山は試合に出たい気持ち、悔しさをぶつけてくれた。最高の結果だ」とたたえた。
日頃から「オレは崖っぷち」と危機感を口にする松山。左太もも裏の筋挫傷で一度出場選手登録を抹消され、5月6日に1軍に復帰して以降は、スイング時の右足の上げ幅を小さくするなど、試行錯誤を続けてきた。
チームは6月反攻への足がかりをつくった。それは、松山個人にとっても同じだ。「焦りはない。1日1日いい準備をしようと思っている。それでダメなら落ちるだけ」。覚悟を決めた男の意地を、もっと見たい。