黒田燕斬り!敵地神宮が赤く揺れた
「ヤクルト2-11広島」(28日、神宮)
剛腕復活-。広島の黒田博樹投手(40)が、7回を7安打1失点の好投で、6月12日のソフトバンク戦(ヤフオク)以来、1カ月半ぶりの7勝目を挙げた。右肩、右足首の炎症で出場選手登録を抹消され、7月7日のDeNA戦(マツダ)から中20日で迎えた後半戦初マウンド。最速149キロの直球系を軸に、7連勝していたヤクルトを力で封じた。チームは連勝で4位浮上。さあ、ここから鯉の巻き返しじゃ!
三塁ファウルゾーンを歩く。試合後、真っ赤に染まった敵地で、黒田は鳴りやまぬ拍手、喝采を浴びた。「ホッとしています」。少しだけ勝利の余韻に浸った。7連勝で首位を走るヤクルトに、力で向かった全111球。無四球の7回1失点で、46日ぶり7勝目だ。
「間がちょっとあいていたので。チームが勝てるような投球をしないとと思っていた。塁に出すとつながっていく打線。ボール先行で、カウントを悪くしないように心掛けた」
初回から全力で強力打線に向かった。最速149キロの直球系を軸に、要所で宝刀ツーシームを駆使。1点リードの五回、2死一塁で首位打者・川端を迎えた。追い込んでから6球目、外角147キロの必殺球で三ゴロに抑えた。右手でグラブをポンッとたたき、黒田は静かに喜びを示した。
さらに直後の攻撃。2死一、三塁で四球を選んだ。満塁から3連打で5得点。試合を決めた。「なんといっても、きょうは彼の四球だ」とは緒方監督。打席で見せる勝利への執念を「ヒットを打とう、塁に出ようという気持ちを出してくれる。ビッグイニングにつながった」と絶賛した。
右肩と右足首の炎症で、リーグ戦で登板するのは7日のDeNA戦以来。抹消中はランニング量を増やして、下半身を鍛え直した。高校野球の季節。「20年以上前か。あのころはよく走った。今は走れなくなったけどね」と笑ったが、黙々と走り込んだ。この間、5度ブルペンに入って調整。勝負の8月、9月を見据えて必死に汗を流した。
チームは連勝で4位浮上。借金は4だが、首位に3ゲーム差だ。「勝てたのが一番。これからまだまだ厳しい戦いが続いていくので。カープファンのみなさんと戦っていきたい」。力強く発した言葉に、敵地のスタンドが赤く揺れた。さあ、夏本番。黒田復活とともに、鯉の逆襲が始まる。