広島・新井が満塁弾含む4安打4打点
「広島9-1ヤクルト」(13日、マツダ)
不敗神話じゃ-。広島の新井貴浩内野手(38)が、5号満塁弾を含む4安打4打点の大活躍。今季、本塁打を放った試合は、1分けを含む負けなし4連勝。「絶対に負けられない試合」で主砲が意地を見せた。3本のアーチで9得点の爆勝。3位・巨人に3ゲーム差に迫った。
両手から離れたバットは、打球同様に高く飛んだ。スタンドインを確信し、ゆっくり歩き出す4番。高く放物線を描いた白球は、左中間スタンドで小さく跳ねた。2連敗で迎えた一戦。決めたのは新井。今季5号は出場30試合ぶりの一発、劇的なグランドスラムだ。
「最近、甘い球を見逃すのが増えていたので。みんながつないでくれたチャンス。思い切っていこうと思った」
興奮気味に振り返ったのは三回1死満塁。グスマンの押し出し四球で1点を奪った直後。定石通りに四球後の初球を狙った。二回には右中間二塁打で、鈴木誠の先制犠飛につなげた。3試合、20イニングぶりの得点。流れを呼んだ。
蓄積疲労からくる打撃不振で、・330近くあった打率は3割を切った。「後半に入って自分のスイングができず、イライラしていた」。前日12日のヤクルト戦は休養のために欠場。それでも室内での試合前練習では黙々とバットを振り込んだ。「この時期に疲れてない選手はいない。関係ない」。あえて増やした練習量で、不振を脱した。
この日の試合前練習には松田オーナーが訪れ、緒方監督を激励した。「諦めずに自分たちの野球をやればいい」。強く背中を押した。前夜の試合後は、緊急の野手ミーティング。「みんなで結果を残そう」と、一戦必勝を誓い合った。誰もが勝つために必死だった。
五回、七回の中前打で、12年6月27日の中日戦(ナゴヤ)以来の4安打、今季5度目の猛打賞。通算9本目のグランドスラム。師と仰ぐ金本知憲氏(デイリースポーツ評論家)の8本を超えた。「金本さんを抜いたの?今度会ったら、自慢しよう」。イタズラっぽく笑った。
連敗を2で止め、3位・巨人とのゲーム差を3に縮めた。「絶対に負けられない試合だった。またあしたから1試合、1試合、勝つために全力で戦うだけです」と新井。残り42試合。悲願の頂点を誓う戦いは、まだ終わらない。