マエケン快投も援護なく10勝目お預け
「広島1-2DeNA」(15日、マツダ)
死力を尽くした。広島・前田健太投手(27)が、7回を4安打7奪三振1失点の好投。だが同点の九回に守護神の中崎翔太投手(23)が勝ち越しを許して、球団史上4人目の6年連続2桁勝利は、次戦以降に持ち越しとなった。痛恨の敗戦に緒方孝市監督(47)は「ベンチ総出で戦っていく」と一戦必勝を強調。切り替えて6連戦の最後を白星で飾る。
ベンチの最前列に座り、勝利を信じて声をからした。あと一歩届かなかった力投。前田は「最初からゼロでいければ、一番良かったが」と、唯一の失点に唇をかんだ。7回4安打1失点。6年連続の2桁勝利は、次戦以降に持ち越しとなった。
二回。1死からバルディリスに、右翼線二塁打を浴びた。続く倉本にフルカウントから7球目。高めに浮いた勝負球を狙われた。いずれも直球。打球は遊撃田中のグラブをかすめたが、わずかに届かず中前へ。転々とする間に先制を許した。
「最初は制球もバラバラで直球もシュート回転していた。球速も出てなかった」。苦しい立ち上がりとなったが、エースはここで意地を見せた。「追い付いてもらってからは、なんとか粘ることができた」と、三回以降はフォームを微修正。六回は山下幸、梶谷を連続三振に斬るなど、追加点を許さなかった。
最速150キロの直球を軸に、110キロ台のカーブを効果的に使った。同点に追い付いた直後の四回。筒香を外角高めの直球で空振り三振に斬ると、ロペスは外角のスライダーで三邪飛に。最後はバルディリスを、内角のツーシームで三ゴロに抑えた。畝投手コーチも「安定感があった。試合をつくってくれた」と右腕をねぎらった。
七回も3者凡退に斬ったが、裏の攻撃の兼ね合いで交代。球団では1986年~91年の川口和久以来、4人目の6連連続2桁勝利は次戦以降に持ち越しとなった。だがこの日は、米大リーグ・ダイヤモンドバックスの球団関係者らが5人で観戦。球団社長付補佐で、MLB通算303勝のランディ・ジョンソン氏(51)らの前で、日本のエースが力を誇示した。
連勝は2で止まり、借金は再び4に増えた。緒方監督は「切り替えてやろう。1戦1戦、全力で、ベンチ総出でやる」と強調する。残り40試合。エースも同じ気持ちだ。次回は中5日での登板が濃厚。「切り替えてやる。残り試合も少ないので、あした勝つことが大事」と前田。秋の美酒を夢に見ながら、勝利を追い求めてゆく。