新井雄叫び同点打!崖っぷちカープ救う

 「広島4-2中日」(10日、マツダスタジアム)

 広島が敵地3連戦に希望をつないだ。1点を追う八回、新井貴浩内野手(38)が同点二塁打を放つと、2死満塁から石原慶幸捕手(36)が勝ち越しの2点適時打。負けられない戦いが続く9月戦線で、低迷期を知る2人が勝機を開いた。首位阪神と4・5差。黒田を初戦に立てる直接対決で鯉が躍る。

 祈りにも似た声は、絶叫へと変わった。「行け、コラァ!!」。勝利への魂を込めた白球は、左中間を真っ二つに破った。二塁ベースに立ち、新井は激しく両手をたたき、また絶叫した。「負けられない」チームを救った。

 「前の打席で2回とも得点圏で凡退。ジョンソンもいい投球をしたし、クソッと思いながら打席に入った」

 八回、七回まで無安打投球を続けたジョンソンが、四球から崩れて逆転を許した直後の攻撃。菊池を一塁に置き、主砲が真ん中低め144キロ直球を狙った。

 自身への怒りを力に変えて、フルスイングした打球が左中間を破る。菊池が俊足を飛ばして、同点のホームを踏んだ。「絶叫?あまり覚えてないな。負けられないし、ジョンソンを見殺しにしたくない。すごく気合が入ってた」。試合後、疲れ切った表情で、新井は勝利の余韻に浸った。

 38歳に背中を押されたのは、36歳の石原だ。同点の2死満塁から勝ち越しの2点中前適時打。

 「新井さんが打って、みんなでつくってくれたチャンス。ジョンソンにも勝ちが付く場面。なんとしても打ちたいと思っていました」

 若手主体のチームに黒田、新井が戻った。低迷期を支えてきた男たちの再集結。「プレーする姿やグラウンド外でも、見ているだけでお手本になる」と石原は言う。新井はベンチから自身の安打以上に後輩の勝ち越し打を喜んだ。「チームとして刺激になるし、していかないといけない」。そんな背中に、石原はカープの未来を重ねた。

 緒方監督もベテランの意地に最敬礼。「この1勝は非常に価値がある」と感謝した。11日からは甲子園で首位阪神との3連戦に挑む。残り20試合で4・5差。逆転優勝には限りなく厳しい数字が並ぶが、石原がチームの総意を代弁する。「どんな形でも勝つことが一番大事。勝つしかない」。1勝、そして必勝の先に、奇跡があると信じて戦う。

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