緒方鯉が自力V消滅…12連戦1勝4敗に

 「ヤクルト4-2広島」(22日、神宮球場)

 ついにこの日が来てしまった。広島の自力優勝の可能性が消滅した。序盤の失点が重くのし掛かり、九回の反撃も届かず。首位ヤクルトとの直接対決に屈し、5・5ゲーム差に離された。それでも緒方孝市監督(46)は一戦必勝の信条を貫くことを誓い、懸命に前を向いた。3位阪神とは2・5差。気持ちを切らさず勝ち進むしかない。

 スタンドを赤く染める鯉党の声援がため息に変わった。1-4の九回。バーネットから1点を返し、なお2死一、二塁。一発が出れば逆転-。しかし田中は中飛に倒れた。重すぎる黒星に、ベンチが静まりかえった。自力優勝の可能性が、消滅した瞬間だった。

 緒方監督は試合後、厳しい表情でクラブハウスへと歩を進めた。鯉党の厳しいヤジを浴びながら「負けたらそういう形(自力優勝消滅)になるのは分かっていた。だが負けられない戦いを続けてきたからね。それはこれからも変わらない」と、前を向いた。

 先発の戸田が初回に自らの失策や暴投などで2失点。自滅の格好に指揮官は「力が入るのは分かるが。もったいない失点があった」と嘆いた。二回にエルドレッドのソロ弾で反撃したが、戸田が追加点を許し4回4失点で降板。打線は三回以降は石川の前にチャンスすらつくれなかった。

 流れが変わったのは七回だ。2番手の秋吉を無死一、二塁と攻めた。緒方監督は代打攻勢で勝負に出た。堂林に代えた安部は遊ゴロで1死二、三塁とどうにか走者を進めた。

 そして石原に代わる松山だ。初球にもう少しで本塁打という大ファウルを右翼ポール右へ放った後、粘った末に中飛。中堅手の捕球体勢がやや崩れ、三走エルドレッドは本塁に突入したが憤死に終わった。指示を出した石井三塁コーチは「点を取れる時に取らないと。何とかしたかった。アウトになったら自分の責任だ」と話した。

 序盤の失点が響き、反撃も届かず敗戦。今季を象徴するような内容で、これで11試合連続4得点以下。指揮官は「何とか点を取ろうと一生懸命やっているのは分かる」と、敗戦の責任を背負った。

 現実は厳しい。首位ヤクルトと5・5差。最短で24日にも優勝の可能性が完全消滅する。それでも3位阪神とは2・5差。23日は黒田を中4日で先発にたて、巻き返しを狙う。

 「プレッシャーがかかるのはクロ(黒田)もそう。野手もそう。点を取って、うちらしい戦いをしないとな」。指揮官は淡々と言葉を紡いだ。あきらめたら終わり。奇跡を信じ全力を尽くす。

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