黒田でカープCS逆王手 虎完封で0差
「阪神0-6広島」(4日、甲子園球場)
行くぞCS!!広島の黒田博樹投手(40)が、8回1/3を8安打無失点の熱投。勝利しか許されない一戦で、阪神打線を圧倒して11勝目を手にした。7日の中日戦(マツダ)に勝てば、3年連続のCS出場が決まる大一番。40歳は「行けと言われたら、打者1人でもいくつもりです」とブルペン待機する。ベンチ総動員で勝利をつかむ。
併殺が完成すると右拳を強く握った。体を反転させながら、激しく雄たけびを上げる。声にならない声は勝利への執念。逆転CSに向かうチームを強く鼓舞した。阪神打線を寄せ付けず、8回1/3を無失点。黒田で勝った。黒田で夢をつないだ。
「当然、負けたらCSに行けないのは分かっていた。こういう試合はアメリカでも経験しているし、19年やっているのでね」
この日、初めてのピンチは五回に訪れた。1死一、二塁で代打西岡。2-2からの5球目、外角低めに制球されたスプリットで、二ゴロ併殺に仕留めた。さらに六回、1死一、三塁でゴメスをツーシームで遊ゴロ併殺に。「狙って取ることができた」と胸を張った。
八回、そして九回も「大地(大瀬良)も投げているし、ザキ(中崎)も前日に2イニング投げている」と続投を志願。だが九回、1死一、三塁のピンチを招き、中崎にマウンドを譲った。交代の際には「すまんな」と一言。粋に感じた守護神は、このピンチを無失点に切り抜けた。
「自分でいくと言った以上、投げないといけなかった。ザキを使って申し訳ない」。勝利してなお17歳差の後輩に謝罪した。9月29日のヤクルト戦(神宮)でも「大地とザキは疲れているから。投げさせたくない」と続投を強く訴えた。首脳陣の説得で8回で交代したが、チームのための犠牲ならいとわない。
フォア・ザ・チームの精神は、打席でもしっかりと示した。三回。追い込まれてから8球、ファウルで粘った。「前に飛ばなかっただけですよ」。最後は見逃し三振に倒れたが、“黒田の13球”に「野手が何も感じない訳がないよ」と緒方監督。直後、四回の攻撃で一気に4点を奪った。
3位阪神とのゲーム差はなくなった。シーズン最終戦、7日の中日戦に勝てば、3年連続のCS出場が決まる。126球を投げた右腕も、中2日でブルペン待機する。「打者1人でも言われたら行くつもり。少しでも力になれるのであれば」。総動員で1勝、そして必勝を狙う。8年ぶりの復帰で駆け抜けた1年。戦いはまだ、終わらない。終わらせない。