福井バント猛特訓「10勝の壁」破るぞ
広島・福井優也投手(27)が20日、マツダスタジアムでの秋季練習で、苦手のバント練習に取り組んだ。東出輝裕コーチ(35)の助言を受け、課題克服に努めた。今季は自己最多の9勝を挙げながら、10勝にあと一歩届かなかった。手痛いバントミスを糧に、今季の悔しさを来季に生かす。
気合が入っていた。福井は懸命にゴロを転がし続けた。今回の秋季練習で、初めて行われた実戦バント。野手に交じり、投手では野村と2人で打席に入った。走者を置き、野手が守備に就く中、今村や一岡の投球に食らいついた。
福井は「いろいろ知らない部分も教わった。試合では絶対に必要になってくるもの。それで勝ち負けが変わることもある。うまい下手は関係ない。うまくならなければならない」と話した。
もともと「昔から苦手」とするバントだが、来季こそ克服しなければならない。今年の苦い経験を生かさなければならない。
7月2日・巨人戦(東京ド)は勝利投手になったが、3-2の八回無死一塁で犠打を試み、捕ゴロ併殺に終わった。敗戦投手になった7月25日・巨人戦(マツダ)でも、1-2の四回1死一、二塁で捕ゴロ併殺に倒れた。
犠打成功率・444。9度の企図で成功4回に対して、失敗は5回を数える。黒田の10割、前田の・818、野村の・667と比較すれば、格段に数値は落ちる。成功確率をアップさせれば、得点につながる可能性は高まり、自身の白星にも跳ね返ってくる。
この日、東出コーチから「バットを素直に前に出して、強く転がってもいいからしっかり当てること」と助言を受けた。以前は打球を殺そうとバットを引くことで体も引けてしまい、ファウルになることが多かった。「まずバットに当てられるようになってから、次に方向や打球を殺すことに取り組めばいい」と助言は続き、納得できた。
福井は「ボールを怖がらずにできた。バットを前に出す方がやりやすかった」と手応えを得た。プロ5年目の今季は自己最高9勝6敗、防御率3・56と躍進。一方で2桁勝利に王手をかけながら、5度足踏みした。来季こそ10勝に到達するため、この秋から地道な努力を続けていく。