マエケン狙って取った!2度目の沢村賞
プロ野球創設期の名投手、故沢村栄治氏を記念した「沢村賞」の選考委員会が26日、都内で開かれ、今季15勝を挙げセ・リーグ最多勝の広島・前田健太投手(27)が選出された。2010年以来の受賞で、2度の受賞は球団では82、86年の北別府学以来2人目の快挙。日本のエースとして、また1つ勲章を手にした。
無数のフラッシュを浴びながら、投手最高の栄誉に笑みを浮かべた。5年ぶり2度目は「沢村賞を狙って取る」と、誓って手にした有言実行の受賞。開口一番、前田は「ビックリした」と、率直な感想を口にした。喜び半分、驚き半分だった。
「取れたことにビックリ半分。取れるのかな、という気持ちも半分あった。あとは(選考日が)今日だったんだ…ということで」
2010年以来、2度目の受賞。予期せぬ日の栄誉に、自然と表情は緩んだ。選考基準として設定される7項目中、前田は完投数を除く6項目をクリアした。4項目クリアの大谷(日本ハム)、藤浪(阪神)を抑えての受賞。ここ10年、セ・リーグからの受賞者は、前田ただ1人で「取りたいと言っていてよかった。1回目よりうれしさは大きい」と続けた。
「チームに一番、直結するのは勝利数と防御率。その2つは意識した。あともう一度200イニングは超えたいと。そこを達成できたので、この賞につながったのかなと思う」
今シーズンは15勝(8敗)で、5年ぶりに最多勝を獲得。206回1/3を投げ3年ぶりに、200投球回もクリアした。防御率はリーグ4位の2・09。後半に失速した昨年の反省から、今季は原点回帰で直球を磨いた。その結果、後半戦も8勝3敗と活躍。1年間を通して、安定した投球が光った。
2度の受賞は球団では1982、86年の北別府学以来2人目の快挙。「肩を並べることは、まだまだできていません」と言いながらも、球団史に刻まれる栄誉を素直に喜んだ。
「自分の名前を数多く残していきたいと思っていた。2回、受賞できたのはうれしい」
13年オフから米球界挑戦を希望しているが、現時点で来季去就は決まっていない。シーズンを総括すれば「4位に終わった悔しさがある」と言う。だが最多勝に続く栄誉で、球界最高の投手であることを証明した。11月には侍ジャパンで臨む国際大会、プレミア12が控える。日本のエースとして、3つ目の勲章を目指す。