広島ドラ2横山が2安打完封勝利
「社会人野球日本選手権・2回戦、NTT東日本2-0日本通運」(5日、京セラドーム大阪)
NTT東日本が日本通運を下し、8強に進出した。広島からドラフト2位指名を受けた横山弘樹投手(23)が2安打完封勝利。序盤で50キロ超の緩急差をつけて相手を幻惑する頭脳的な投球が光り、即戦力の呼び声に違わぬ力を見せつけた。
2点リードの九回2死一、二塁。マウンドに来た安田コーチの「代わるか?」の問いに「投げます!」と横山は笑みを浮かべながら返答した。そのたたずまいは余裕すら感じさせ、最後の打者を打ち取ると力強いガッツポーズを見せた。
序盤からすべて打てる手を打っていた。立ち上がりから最速145キロの直球に、90キロ台の緩いチェンジアップを多投した。「社会人に入ってから覚えた。いいフォームじゃないと投げられないので」とプロでも類を見ない“魔球”で相手打者を幻惑。「ストレートに差し込まれてきた」と分析した二回り目以降は封印し、五回まで無安打投球を見せた。
六回に初安打を許したものの「まったく意識していなかったので」と安定感は揺るぎなかった。「力を抑え気味にしてコントロールを重視して」と凡打の山を築き、最後まで三塁を踏ませずにスコアボードに9つのゼロを並べた。
昨年の都市対抗・JR九州戦以来となる完封勝利。これまで速球派のイメージが強かったが、この日見せた頭脳的な投球は大きな可能性を感じさせる。内外角をしっかりと突ける制球力に加え、四回には死球で出塁させた一塁走者を素早いけん制球で刺した。
ただ投げるだけでなく、フィールディングを含めた総合力はかなり高いレベルにある。投球フォームもテイクバックが小さい割に、前へ大きく腕が振れるため、相手打者もタイミングを取りづらそうにしていた。
ドラフト後は、同僚があえてプロ入りの話題に触れず「チームメートの心遣いがあって集中させてもらった。チームの日本一のために、活力になってます」と明かした横山。最後の“恩返し”となる日本選手権制覇へ、その右腕を振り抜く。