岩本ノーステップ打法で巻き返す
広島の岩本貴裕外野手(29)が25日、ノーステップ打法で巻き返しを図る考えを明かした。この日は広島駅前で「犯罪被害者支援街頭キャンペーン」に薮田和樹投手(23)とともに参加し、募金活動等を行った。30歳の節目を迎える来季へ、不退転の覚悟で挑む。
トレードマークの笑顔に憂いの色が浮かんでいた。岩本はユニホーム姿で募金活動等を精力的に行った。ただ、その心中は今季の悔しさと来季に懸ける思いが交錯していた。
「今年は何もできなかった。本当に悔しいシーズンだった。来年で30歳。ダメなら終わりくらいの気持ちでやらないと。打たないといけない。バットで存在感を出せるように頑張りたい」
7年目の今季はプロ最少の7試合出場にとどまった。開幕1軍を果たしながら、4月5日の中日戦を最後に、2軍暮らしが続いた。本塁打0。持ち味のパンチ力を発揮できなかった。
10月には血管の不具合「左腋窩(えきか)動脈閉塞(へいそく)症」のため、広島市内の病院で手術を受け1週間入院。回復は順調で、2軍の由宇秋季キャンプではマシン打撃を再開した。「体の方は大丈夫。打撃フォームを意識している」と、以前に取り組んでいたノーステップ打法に再挑戦し、巻き返しを図っている。
広島で行う自主トレでは、キレとパワーをともに生かし、筋肉量を増やしながら体脂肪の軽減を目指す考えだ。08年度ドラフト1位。2年目の2010年には14本塁打をマークした。「もうやるしかない」と背水の陣で臨む来季。アーチを描き、心からの笑顔を見せる。