黒田が現役続行決断「来年もやります」
広島の黒田博樹投手(40)が8日、来季現役を続行する意向を固めた。同日、午前に交渉役の鈴木清明球団本部長(61)に、電話で「来年もやります」と伝えた。10月7日のシーズン終了後から、来季去就に関して態度を保留。気持ちは揺れ動いたが、続行を決めた。41歳となる20年目シーズンへ、男気ストーリー第2章が始まる。
待ちに待った吉報は、正午前に電話で届いた。来季去就について黒田から、鈴木本部長の携帯電話に着信。「来年もやります」-と答えを出した。真珠湾攻撃、ジョン・レノンが射殺された12月8日。鯉のレジェンドが現役続行を決めた。
前日7日夜、黒田は鈴木本部長と今オフ初めて直接会談した。「ホッとした気持ちと、ヨシッという気持ちですね」と同本部長。広島市内の飲食店で約2時間半。酒を酌み交わしながら野球談議に花を咲かせ、来季の残留を粘り強く要請した。
黒田は自宅のある米国から11月下旬に再来日。以降は球団行事に参加しながら、時間の許す限り頭を悩ませてきた。同月30日には揺れ動く胸中を吐露。「野球人生最高のモチベーションで帰ってきた。なかなかそれを超えるものを探すのが難しい」と明かしていた。
球団は4日、前田健太投手(27)について、ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦を容認。今季15勝のエースに加え、11勝の黒田が引退すれば、戦力ダウンは計り知れない。同本部長はファンの思いも代弁。「世の中の人が、みんな続けて欲しいと思っている。その思いに応えて欲しい」と訴えた。
「本人は思っていないかもしれないが、200勝という数字もある。それでチームが盛り上がる。来年はまだ優勝を狙えるという話もした。彼がやってくれることで、補強を含めてやっていきたい」
残り7勝となった200勝到達が、来季チームの士気に必要だと続けた。達成すれば大卒投手では、村山実(阪神)以来46年ぶりの偉業。チーム事情、ファンの思い、記録達成の全面支援。今年のモチベーションを超える材料となるべき“素材”を並べて交渉した。
全ての思いを受け止めた黒田は、現役続行に心を傾かせたようだ。「成績もそうだけど若い人の手本になって。大きな目標を持ちながらやって欲しいですね」と同本部長。求められるのは今季同様に数字上の活躍、精神的な支柱としての存在感だ。プロ20目となる2016年。男気右腕が広島の街を歓喜で包む。