黒田、最高年俸に「選手に勇気を」
広島の黒田博樹投手(40)が17日、広島市内の球団事務所で契約交渉に臨み、2億増の6億円プラス出来高で更改した(金額は推定)。会見の内容は以下の通り。
◇ ◇
-サインは?
「はい」
-アップの割合は?
「想像以上に評価していただきました」
-球団から言葉は?
「成績だけでなく、いろんな部分。1年間チームとってすごくプラスになったと言ってもらえたんで、そこが評価していただけた部分ですね」
-プラスになった部分とは…。
「自分ではあんまり分からないが、そうやって球団に言ってもらえたということは、1年間苦労しながらやって良かったと思います」
-要望は?
「来季に向けて補強というか、チームがどういう方向に向かっていくのかということを話しました」
-補強について。
「補強と言っても、外国人が大半だと思うので、来てみないと分からない部分がありますけど、それなりに考えながらチーム編成をされているんで、間違いなく、来シーズンも優勝を目指せるチームになれるんじゃないかと思います」
-更改前にマウンドの確認をしたが。
「来年3月までこっちに来られないので、その前にいろんな要望を言えることを言って。どんな感じになるのか聞きました」
-具体的な要望は?
「できればピッチャーとしてはマウンドは硬い方がいいので、そういう要望ですね」
-開幕投手への思いは?
「全く考えてないし、これはシーズンに入ってからですね」
-燃え尽きたという報道があったが。
「1年間必死に戦ってきた中で、自分では燃え尽きたということがあったんですけど。来シーズンを戦うにあたって、モチベーションを自分なりに探していって、探すということはどこかでもう1年やりたいというか、やらないといけないということがあったんですかね」
-1番考えたことは?
「球団を含め、ファンの人やいろんな人にまだやれると言ってもらって、その中でそれに応えないといけない。それに応えるというのもプロとしてしないといけないことかという気持ちと、若い選手の中でも『来年もよろしくお願いします』と社交辞令かも分からないですけど。そういう言葉をもらって、辞めるという決断ができなかったですね」
-家族に相談は?
「毎シーズン自分の気持ちの中でどれだけ野球に対して、気持ちを高ぶらせて打ち込んでいけるかということを考えていたんで、自分の気持ちだけで決めました」
-決断の決め手は? 「自分自身、モチベーションを探して、ファンの人も来シーズン、もう一度投げて欲しいと言うのも、耳にしていたんで。そちらの方が大きかったですね」
-モチベーションを探す中でサンフレッチェの試合も観た。
「広島のプロスポーツのチームが、広島で優勝するということをなかなか観られるチャンスはないですし。そこで刺激も受けましたし、たくさん感動ももらったんで、それも大きかったですね」
-今年はどんな1年になったのか。
「1年間、無我夢中でやってきましたし、常に次の登板はないと思って、その日の登板を大事に投げてきたと思うんで。しんどかったですけど、あっという間に終わった1年でしたね」
-特に印象に残ったことは?
「本拠地の開幕戦で投げさせてもらったときの球場の雰囲気。そして、ファンの人の声援が一番印象に残ってますね」
-ファンの声援は、どう感じていたのか。
「たくさんの声援。マツダスタジアムだけでなくいろんな所の球場に行っても、ファンの声援がすごくありがたかったです。試合の中で、どうしても苦しくなったり気持ちが折れそうになった時は、ファンの声援が僕にとっては大きかったです。そういう意味では普通に投げているのと、声援を受けて投げるのは、全然違ったなと思います」
-帰って来て思うことは。
「帰ってきた以上、優勝したかったというのはあったので。そういう意味での無力感というのはありましたけど。たくさんの人に声援してもらってマウンドに上がれるという、そういう幸せを感じさせてもらったんで、本当に帰って来て良かったなと思います」
-苦しい時もマウンドに立ち続けた。
「ファンの人の後押しですね。そう簡単にはマウンドを降りられない、戦列から離れられないというのがあったので、最後はそこしかなかったですね」
-決断にあたって、心ではなく体の部分では?
「最初は、自分の中ではそこが重要だった。今シーズンも2度離脱して、肩と足首で苦労した。契約する以上はそこの不安をなくして契約したいと思っていた。1カ月アメリカで考えながら、体の状態をメンテナンスしながら、ずっと考えてました」
-現在、不安はなくなったのか?
「こればかりは投げてみないと分からないですし、なかなか約束できないのが申し訳ないんですけど。いつ壊れてもいいので、その気持ちだけは来シーズンも変わらないと思います」
-どれくらい引退のことを考えたか。
「どれくらいというか。シーズン終わった瞬間にもう終わると思っていましたけど。(野球が)好きなのかどうなのか分からないですけど、あとはもう、やらないといけないというのが、自分の中でいくら引退を考えても、あったんじゃないかと思います」
-引退を選択すれば、悩みから解放された?
「やはり周りの人の反応、チームメートのことを考えても、もう1年そういうメンバーで戦いたいと思ったし、来年41歳になるので。その年齢でマウンドに上がるのは簡単なことではない。そういう部分でプレッシャーもありますけど。最後は、やらないといけないというのが、自分の中であったんじゃないかと思います」
-オフの課題は?
「現役続行と決めてから、気持ちの部分でも方向性を決めて動き出せたので。いつもと変わらないオフシーズン、トレーニングに関しても動けていると思う。ロスに帰るとジムで、毎年やっていたトレーニングになると思います」
-キャンプの合流時期は?
「投手コーチの畝さんとかと詰めないといけないですけど。今年と同じくらいになると思います」
-日米通算200勝への思いは。
「実際それにあまり思いがなかったので。引退ということも頭をよぎったと思いますけど、やる以上は1つでも多く勝たないといけないし、勝ちたいので、それも1つのモチベーションになると思います」
-新井の2000本とともにファンは盛り上がる。「2人で達成して優勝できたら最高」と話していた。
「新井は大丈夫じゃないですか(笑)。間違いなくいくんじゃないかと思います。僕自身は自分の中で精いっぱいやって、それが199勝であろうともね、僕の中ではスッキリすると思います。現時点では、そういう気持ちで来シーズンをやりたいと思います」
-来季の抱負、目標は?
「毎試合、元気にマウンドに上がって。最高のパフォーマンスをして、チームに貢献するのが大事だと思います。開幕から、何戦目に投げるか分からないですけど。そこに投げることができれば、また次の試合。その積み重ねじゃないかな、と思っています」
-数字の目標は。
「全然、見えないですね。どれくらいできるかも分からないですし、不安あるので。ただ、立場も考えれば、しっかりした成績を残さないといけないというプレッシャーは、当然感じています」
-今季は4位。あと何が必要なのか?
「それは僕の口から言うことではないですね」
-若い選手に伝えたいことは?
「僕はありがたいことに、20年目を迎えることができる。なかなか、そういうのってないと思うんですよね。本当に1年、1年を大事にして欲しい。1年よくても、2年目、3年目ダメで野球を続けることができなくなった人って、僕もたくさん見てきましたし。アメリカでもそういう人はたくさんいたので。1年、1年、毎年が勝負だと思って、野球をやって欲しいと思いますね」
-球界トップの年俸。広島の選手が球界を代表する額となった。
「僕自身もね、プロに入って3年、4年くすぶっていたというか。思うような成績を残せていなかった中で、41歳になってそれぐらいの契約をしてもらうというのはですね、2年目、3年目の選手に、カープだけじゃなくて、いろんな球団の選手たちに、多少なりとも勇気を与えられるのではないか」
(続けて)
「僕が前回いた時のカープからでは、考えられないような契約をしてもらった。そういう意味ではすごく、カープであるからこそ、意味があるのではないかと思います」
-来季、20年目で迎えるマウンドとは。
「まさかプロに入った時、こういう年齢まで、しかもこういう素晴らしい契約をしてもらえるとは思ってなかったので。すごく不思議な感じがしますけど。その中で1年、1年が勝負という気持ちでやってきましたし。その中で積み重ねてやってこられたんだな、という気持ちでいます」
-今シーズンを超えるモチベーションは、みつかったのか。
「決めた中でも、これから自分の中でもっと、気持ちを奮い立たせるものを、見つけていかないといけない」
-毎年、1年、1年が勝負と言う。来季、その思いはより強くなるのか。
「普通に考えると、41歳で迎えるシーズンは当然、経験はしていなかったので。年々、苦しくなってくるのは、自分の中でも分かっている。そういう意味では、いままで以上に苦しいシーズンになると思っています」