緒方監督 恩返しはV…村上さんに誓う
数々の名選手を発掘し、8日に心不全のため79歳で死去した広島の元スカウト部長で顧問の村上孝雄(旧姓宮川)さんの通夜が12日、北九州市の斎場で営まれた。村上さんが九州地区担当スカウト時代にスカウトされた広島・緒方孝市監督(47)が、松田元オーナー、高信二ヘッドコーチとともに参列。亡き恩師に、25年ぶりの優勝を誓った。
祭壇に飾られた村上さんの遺影は、にっこりとほほえんでいた。今も昔も変わらない「おやじ」の笑顔だった。改めて固めた今季への決意。緒方監督は優勝への思いを、さらに強くした。
「いろんなことを一から教わった。シーズンが終わって優勝を報告できるようにしたい。それが最大の恩返しになる」
初めて出会った時のことを鮮明に覚えている。鳥栖高校3年の秋。練習中、いきなり声を掛けられた。「“こういち”と下の名前で呼ばれてね。テープの巻き方を教えてやると。打撃練習を見ていて僕の手が痛そうだったんだろうね」。その翌日にドラフト3位で広島から指名を受けた。運命の糸がつながった。
プロ入り後は「おやじ」と慕った。母親を早くに亡くしていたこともあり、「心配してくれて、ずっと声をかけてくれた」。げんこつをもらったことも、叱咤(しった)されたこともある。そのすべてが愛情に満ちあふれていた。
もう、その笑顔を見ることはできない。だが、胸にはしっかりと刻み込まれている。「力を合わせてチーム一丸で頑張っていく。親孝行をしたい」。間もなく始まる監督2年目。また1つ、勝たなければならない理由が増えた。