堂林手応えアリ、V弾で開幕三塁デモ
「練習試合、広島6-1DeNA」(25日、沖縄)
広島・堂林翔太内野手(24)が25日、沖縄・コザしんきんスタジアムで行われたDeNAとの練習試合で、待望の一発を放った。七回2死一、二塁で小杉の内角ツーシームに反応し、左中間席の最深部に放り込んだ。昨秋から取り組んできた打撃改造。キャンプ終盤で、大きな手応えをつかんだ。
手に残る心地良い感触で確信した。左中間方向に伸びる白球を目で追いながら、堂林は走り始めた。自らが追い求めるスイングで決めてみせた一発。「よしっ!」と思ったのと同時に、打球はフェンスを越えた。
「ものすごく良い感じでバットを振ることができた。最近にはない感覚。今までのモヤモヤが一気に晴れた」。歩んできた道が間違いでないと示したかった。心からの、とびきりの笑顔だ。
1-1の七回2死一、二塁で小杉の内角ツーシームを捉えた。打球はバックネット方向へ吹き付ける逆風をものともしない。あっという間に、左中間席の最も深い場所へ到達した。「素晴らしい打撃を見せてくれた。相当、うれしかったんだろう。ベンチでも叫んでいたから。きょうの試合は堂林」と緒方監督。指揮官をうならせる最高の一振りだ。
どん底にあえいでいた。勝負の年と位置づけて挑んだ今キャンプ。昨秋から取り組んできた打撃改造の成果を見せることができなかった。「日南でも全く(いい感覚が)なかった」。グリップの位置やタイミングの取り方などを試行錯誤。キャンプ中盤にはイメージするスイングと実際のスイングが一致せず、空虚な気持ちになった。
昨秋に「腹をくくってやる」と誓いを立てた。だから結果が出なくても自分を見失うことはなかった。21日のオープン戦(巨人戦)後の夜間練習で、きっかけをつかんだ。そして22日、韓国・KIAとの練習試合で右前打を放ち、自信へと変えた。「バットを振り出す時、力みなく振り抜けた。練習であった良い感じを試合で出せた。これかな、というのが見えてきた」。ようやく光が差した。
開幕まであと1カ月。ルナと争う三塁のレギュラーは、打ち続けなければつかみ取ることはできない。「まだ1本出ただけなので、これから。良い感覚を忘れないように、これからも取り組んでいきたい」。最後は唇を結んで前を向いた。自分を信じ続けて出した一つの結果。手に残る感覚を確信に変えて、堂林が高い壁を乗り越える。