黒田快投後“怪演”左手にアイシング…

 「広島春季キャンプ」(27日、沖縄)

 広島の黒田博樹投手(41)が、今キャンプ初のシート打撃に登板した。ルナ、エルドレッドら、主力打者のべ11人を相手に45球。安打性の打球は2本に抑えた。昨年、本塁打を浴びた新井と1年ぶりの再戦。投手強襲ライナーを素早い反応で処理した。登板後、左手をアイシングでぐるぐる巻きにして会見に登場。投直の影響かと思いきや…。

 会見場に姿を見せた黒田は、左手を覆ったバスタオルを取った。氷のう2つを使って、テーピングでグルグル巻き状態だ。「まだ分からない。冷やして様子をみる」。重傷を負ったかのように、神妙な顔つきで話す。沈黙の後、ニヤリと笑った。ケガは…していなかった。

 「久しぶりというか、目いっぱい投げたので、けっこう疲れました。まだまだです。いい球もあれば悪い球もある。いい球を増やしていきたい。とりあえず病院で、MRI検査を受けてきますよ」

 笑顔で振り返ったのは、1年ぶりの夢対決だ。初のシート打撃登板。1人目で新井が打席に立った。2-2からの5球目、内角を狙ったツーシームだ。少し甘く入った球を捉えられ、中前に抜けるかに見えた痛烈な打球。黒田は体を反転させて、グラブで捕球した。

 華麗な体の動きに、新井も「とても41歳には見えない。あと3年…いや、5年はできる」と脱帽。その後もスライダーで三ゴロ、ツーシームで一ゴロに抑えた。昨年は本塁打を浴びたが、日米通算193勝VS1971安打の対決は、結果的に黒田に軍配が上がった。

 会見場では爆笑を誘ったが、投球ではさらなる進化を見せる。新球チェンジアップと、本格習得を狙うカーブを多投。さらに右打者の内角に、カットボールを試投した。対右打者用の「新フロントドア球」。腰を引いた新井は、“新球”の驚きを「味方でよかったですよ」と振り返った。

 「チェンジアップもカットボールもあった。昨年より進化というか、違った黒田さんでした。すごいなと思う。ツーシームもあって、来たと思ったらこう(内に)くる。やはり対戦するチームの打者はすごく嫌だと思う」

 ルナ、プライディ、エルドレッドから空振り三振を奪った。全45球。打者11人を2安打に抑えた。「今年は右手を出さないように」。昨季はライナー性の打球に2度、右手を出して直撃した。最後はオチまで付けて会見終了。今後は開幕まで3度、オープン戦に登板する。プロ20年目の41歳。レジェンドは、とどまることを知らない。

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