野間サヨナラ!開幕もベイに劇勝じゃ
「オープン戦、広島3-2DeNA」(12日、マツダスタジアム)
開幕前哨戦で意地の逆転サヨナラ勝ちだ!広島は1点ビハインドの九回、ルナ、エルドレッドら中軸がつなぎ、最後は野間峻祥外野手(23)が、2死満塁から中前へサヨナラ打を放った。昨季、1点差試合は25勝26敗。DeNAに対しては2007年以来、8年ぶりに負け越した。そんな暗いデータを払しょくするような粘り勝ち。今年の鯉はひと味違うぞ。
バットの芯から外れた打球が二遊間へ転がった。二塁手が追いついたかに見えたが、グラブをかすめながら中前へと抜けていった。気迫、執念で呼んだ一打。苦手DeNAを相手に、開幕前哨戦で逆転サヨナラ勝利。最後は野間が決めた。10日に“懲罰交代”を喫した男が、雪辱の思いをバットに込めた。
2016年の新打線。「つなぎ野球」の真骨頂は、1点を追う九回に本領を発揮した。先頭の西川が中前打で出塁。新人が突破口を開くと、4番ルナが左前打で続いた。理想の流れで一、三塁の好機を築くと、5番エルドレッドの中犠飛で同点とした。
緒方監督が手応えを明かす。
「きょうのスターティングメンバーが、開幕に近いと思って起用している。1試合にチャンスは5、6回あるわけじゃない。新人が作ったチャンスをベテランがつなぐ。いいものを見せてもらった」
さらに新井が中前打で一、三塁。プライディが敬遠で歩いて満塁とした。代打松山は、空振り三振に倒れたが、2死から野間だ。2-2からの5球目、外に落ちるシンカーを拾った。ボテボテだったが、逆らわずに打ち返した打球は、しぶとく中堅まで抜けた。
執念打はチームにとっても、野間にとっても価値ある一打だ。DeNAは開幕戦で迎える相手。昨季は07年以来、実に8年ぶりに負け越した。さらにシーズンでの1点差試合は25勝26敗だっただけに、オープン戦とはいえ2つの暗いデータを払しょくする攻撃。接戦を勝ち切る野球を掲げるだけに、「勝利」の持つ意味は大きい。
殊勲の野間も必死だった。10日の西武戦。三塁走者で、浅めの左飛に反応できずストップ。消極的な姿勢に次の回、緒方監督は即座に交代を告げた。名誉挽回の一打に指揮官は、内容以上に結果、姿勢を評価。「必死に取り返そうとする気持ちが前面に出た。チャンスを与えるし、評価する」と目を細めた。
開幕まで残り7試合。右翼の定位置を狙う野間は結果ではなく、初球を見逃した内容を猛省する。「課題がはっきりと出た。きょうはセーフだったが、シーズンに入れば甘くないので。もっと大胆に取り組みたい」。勝利にも笑みはない。今年はひと味違うぞ-と、一丸で体現した1勝だ。