新井が激闘決着打!6打席目に大仕事
「DeNA4-6広島」(19日、横浜スタジアム)
広島の新井貴浩内野手(39)が延長十二回、1死満塁、右前に2点タイムリーを放ち試合を決めた。昨年8月27日の阪神戦(マツダ)以来236日ぶり、今季初めての4番に座った一戦で、土壇場で勝利を決める執念打。チームの連敗を2で止めた。節目の通算2000安打まで残り「7本」。勢いに乗って大台到達、チームの連勝を狙っていく。
まだ赤く腫れの残る右手を、ベンチに向けて強く突き刺した。延長十二回。土壇場、ドロー濃厚の一戦で、試合を決めたのは新井だった。一塁ベース上で、感情を激しく爆発させる。チームの連敗を2で止めた一打。殊勲は「4番」だった。
「こんなにたくさん残っていただいて、声援いただいてありがとうございます。みなさん喜んでくれてるのが僕もうれしいです!ありがとうございます」
午後10時20分。4-4で迎えた最後の攻撃だ。代わったペトリックに対し、1死から田中が左前打で出塁すると、菊池が右前打でつなぐ。さらに丸がファウルで粘った末に、右前打で1死満塁の好機を演出した。打席には4番、新井。この試合5打席に立ち、4打数無安打。2三振に倒れていた。
17日の巨人戦(東京ドーム)。マシソンの直球を、右手首付近に受けた。一度、ベンチに戻って治療後、痛みを押してプレー続行。「大丈夫よ。問題ない」と気丈に話したが、患部は赤く腫れが残ったまま。だが、平然とグラウンドに立った。
3人で終われば回らなかった“幻の打席”。チーム一丸で作ったチャンスに、39歳のベテランは結果で応えた。2-2から5球目。外角の直球に逆らわず、右方向に運んだ。打球は一、塁間をしぶとく抜ける。二塁から菊池も懸命の走塁で、一気に2点を勝ち越した。
開幕から4番を打ったルナが故障離脱。緒方監督は新井に「つなぎの4番」として代役を託した。昨年8月27日・阪神戦以来の重責にもプロ18年目、39歳のベテランは平常心だった。「みんなが後ろにつないでね。新井がいい仕事をしてくれた」と指揮官。連敗ストップにホッと一息だ。
劇的な決勝打で2000安打まで残り「7本」。だが、個人記録には一切の興味を持たない。「重圧はあったけど、絶対に打とうと思って打席に入った。みんなでつないで勝てたので、最高です」と新井。自然と笑みがこぼれる。見据えるのは頂点、優勝だけだ。4番の一打でチームは、再び上昇気流に乗った。