広島ドラ1岡田 プロ初星またお預け
「阪神4-3広島」(21日、甲子園球場)
1勝目が遠い。広島のドラフト1位・岡田明丈投手(22)=大商大=が6回を8安打、無四球、1失点と好投。4度目のマウンドで111球の力投を演じたが、味方打線の援護を得られず、プロ初勝利はまたしてもお預けとなった。ただ2試合連続で結果を出し、ローテの一角として安定感を増している右腕。次こそ待望の白星をつかみ取る。
グラウンドの歓喜を見つめ、しばらく動けなかった。阪神のサヨナラ勝利の瞬間を、ベンチで見届けた岡田。プロ4度目の登板は6回を8安打1失点。粘り強い投球を演じたが、プロ初勝利はまたもお預けとなった。
いきなりの試練にも動じなかった。初回2死からへイグ、福留の連打で一、二塁とされ、ゴメスを迎えた。スライダーで追い込むと、最後は外角高めに149キロの直球。伸びのある球に主砲のバットが空を切った。
「緩急を使った投球ができた。ストライク(ゾーン)に向かって、腕を思い切って振っていけた。自分のミスを出さないようにと思って投げた」。四回には3連打で1点を失い、なお1死一、二塁とピンチが続いたが、鳥谷を左飛、岩崎を一ゴロに仕留め、最少失点で切り抜けた。
五回には板山の打球が右スネ付近に当たるアクシデントに見舞われるも、続投を志願。結局6回1失点で、先発としての役割を果たした。「三振を取りにいこうと思って腕を振った結果、スピードがついてきた」。100球を超えた六回も149キロを計測。最速は150キロをマークした。
4月28日のヤクルト戦(神宮)では、1死しか奪えず6失点で降板。2軍行きを命じられた。抹消後は先発ではなく中継ぎに配置転換されたが、1回を全力で投げることを身につけ、苦手だった立ち上がりを克服。佐々岡2軍投手コーチは「長い回を投げようと考え過ぎている。入りから全力で投げられないといけない」と語る。
岡田が受けた指導はそれだけではない。「カーブの握りを教えてもらい、制球がしやすくなった。縦に腕を振ることで、真っすぐにも生きてきた」。佐々岡コーチの代名詞でもあった縦に大きく割れるカーブ。投球の幅が広がり、直球の威力が増した。この日も110キロ台のカーブが、効果的に決まった。
「今回のような投球を7、8回、最終的には9回と投げられるように。スタミナ、制球を付けていけば勝ちにつながる」。“五度目の正直”を信じ、次こそ笑顔でウイニングボールをつかみ取る。