広島・安部、殊勲の2点三塁打
「阪神5-10広島」(22日、甲子園球場)
試合後も笑みを見せることなく、前を向いてゆっくり歩いた。雪辱を込めた一打も風に乗った。結果的に大勝を決めた一戦で、欠かせなかった2点三塁打。前日に守備で、敗戦につながるミスを犯した広島・安部が、好調のバットで勝利に貢献した。
三回だ。松山の3ランで逆転後、エルドレッド、天谷の連打で2死一、二塁。安部は2-2からの5球目、低めのカーブに空を切った…かに見えた。当の本人も一度は天を仰いだが、実はバットがボールにかすった後、バウンドしていた。ファウルの判定で、九死に一生を得た。
「ファウルだと思っていた。ヨシッ、打ち直せるな、と。相手がイライラしているのは、分かりました」
直後の6球目、高めの直球を強振。強く吹いていた浜風にも乗った打球は、中堅フェンス直撃の適時三塁打となった。
「最後まで振り切れた。風もあったけど、甘い球を強く押し込めた」。スタメンは17試合で64打数22安打、13打点。打率・344と好成績を残す。
サヨナラ負けを喫した前日。高山に決勝打を許した直前、風に流されたファウルフライを捕球できなかった。「取り返しはできない。やらかしたミスは消えないのでね。コツコツと続けていきたい」と安部。泣かされた風にも助けられた殊勲打。強い気持ちが浜風を味方に付けた。