土生プロ初H 苦節5年目初スタメン
「交流戦、広島1-6ソフトバンク」(3日、マツダスタジアム)
一塁ベース上で、広島・土生翔平外野手(26)の表情が崩れた。満員のスタンドから拍手喝采を浴びる中で、内川に声を掛けられた。「プロ生活が始まったな、と言ってもらいました」。力強く右前にはじき返した白球。5年目にして、ようやく放ったプロ初安打だ。
1-5の七回。カウント3ボール1ストライクから東浜の直球を迷わず振り抜いた。「6番・右翼」でプロ初のスタメン出場。初回、松山の二ゴロの間に1点を奪い、なおも2死二、三塁で決め球のシンカーに空振り三振に倒れていた。「シンカーを見極めてボール先行になれば、甘い球が来るんじゃないかと思っていた」。狙い通りだった。
苦節5年目で花が咲いた。初の1軍初昇格を勝ち取ったのも今季だ。昨秋キャンプでは石井、東出打撃コーチらの助言を受けバットのヘッドを効かす打撃を磨いてきた。ウエスタンでは打率3割以上をマーク。「いろいろな人に支えられてきた。感謝したいです」。周囲の期待に応えた。
07年夏の甲子園では、広陵の主将として野村、巨人・小林誠とともに準優勝に輝いた。プロでは、同学年の中で最も遅咲きになった。「やっと始まった。明日もしっかりと準備して頑張りたい」。スタートラインに立ち、前を向いた。