広輔V弾!バックスクリーン直撃!
「交流戦、日本ハム2-3広島」(7日、旭川スタルヒン球場)
どこまでも届きそうな、乾いた打球音だった。曇りのない夜空に、広島・田中広輔内野手がアーチを描く。バックスクリーンへ放り込む決勝の4号ソロ。旭川で29年ぶりの勝利を、そのバットがもたらした。
1-1の五回無死。有原の初球、ど真ん中の直球を迷わず振り抜いた。「地方球場じゃなきゃ、入ってないでしょ」。そう言って謙遜したが、打球は120メートル先のフェンスを越えた。芯でとらえたからこそ飛ばすことができた一撃だ。
0-1の三回1死では中前打。二盗で好機を広げ、同点劇を演出した。七回には右前打を放ち、今季6度目となる猛打賞。開幕から不動の1番を務める。グラウンドを縦横無尽に駆け回る姿が頼もしい。
中堅から左翼方向を意識したスイングが光る。昨秋からチームは、三振数を減らし出塁率を高める方針を掲げた。「引っ張って気持ち良く打ちたい気持ちはある。でも逆方向へ強い打球を打つことを心がけている」。期待されているのは、しぶとい打撃。その役割を全うすることだけに意識を集中してきた。
「一戦一戦をしっかりと戦っていきたい」と前を向いた。首位を走る。リードオフマンの言葉通り、田中がチームをけん引している。