広島・野村 ハーラートップ7勝目
「交流戦、日本ハム2-4広島」(9日、札幌ドーム)
広島・野村祐輔投手(26)が6回3安打無失点でハーラー単独トップとなる7勝目をマークした。持ち味の制球力を存分に披露。変化球を巧みに投げ分け、日本ハム打線から凡打の山を築いた。チームは札幌ドームで12年6月5日以来の勝利。同球場での連敗を「6」で止めて鬼門を突破した。4カードぶりの勝ち越しで首位をがっちりキープした。
ポーカーフェースがゆがんだ。野村が激痛に歯を食いしばり、苦悶(くもん)の表情を浮かべる。腰に手を当て大きく深呼吸もした。それでも「任された以上、投げたい気持ちがある」。一度ベンチに戻って治療を施し、鯉党の拍手を浴びながら再びマウンドに上がった。
2-0の三回にアクシデントは起こった。大野の鋭いライナー性の打球が、ダイレクトで右脇腹付近を直撃した。ベンチ裏でテーピングをして応急処置は完了。続投を志願すると痛みに耐え、中島を中飛。陽岱鋼は内角に切れ込むシュートで見逃し三振に斬った。先発は週に一度だけの登板。「できるだけ長く投げるのが仕事だから」。強い責任感が、その体を突き動かした。
持ち味を最大限に発揮した。103球中、直球は数球しかない。チームは日本ハム打線を直球に強いと分析。リードした石原もこの日は変化球の状態が良いと判断し、カットボールとシュートを軸に配球を組み立てた。2-0の五回2死二、三塁。一打同点の場面では、陽岱鋼を内角のシュートで一飛に打ち取った。「ランナーは出したけど、ピンチでコースに投げ込めた」。きっちりと要求に応え、リードを守りきった。
既に昨季の勝ち星「5」を上回り、これでハーラー単独トップの7勝目だ。開幕ローテで4番目だった右腕が、6勝のジョンソンと共に首位を走るチームの原動力になっている。「チームが勝つことが大事。その中で少しでも貢献できていたらうれしいですね」。目尻を下げて、白い歯をのぞかせた。
鬼門の札幌ドームで、チームの4年ぶりの勝利に貢献。3度対戦した大谷も無安打に抑えた。それでも、大事を取って六回終了で交代したことに「もう一回は投げられた。リリーフに助けてもらいました」と言った。最後までマウンドに立ち続けることが自らに課せられた使命。次回は九回を投げきり、勝利の瞬間をマウンドで迎える。