黒田41日ぶり5勝!200勝「M2」
「交流戦、楽天0-6広島」(10日、コボスタ宮城)
広島の黒田博樹投手(41)が圧巻の“復活星”だ。8回を9安打無失点に抑え、4月30日の中日戦(マツダ)以来5試合ぶりとなる5勝目。9年ぶりの登板となった仙台で、9安打を浴びながら7奪三振。チームは2連勝で今季最多タイの貯金7とし、2位・巨人に3ゲーム差と広げた。ベテランの熱投が25年ぶりの頂点へ、勢いを加速させる。
試合後、殊勲のヒーローは厳しい表情のまま最後に姿を見せた。8回で9安打を浴びながら、要所を締めた116球。4月30日の中日戦以来、5試合ぶりの勝利に笑みはない。「チームが勝ててよかった」。重圧と闘い、責任を果たし、黒田はホッと一息ついた。
ハイライトは六回。1死一、二塁で代打松井稼と対戦した場面だ。1学年下で高校時代から、しのぎを削ったライバル。6点のリードは頭になかった。「気持ちも力も入りました」と追い込んでから外の宝刀ツーシームで二ゴロ併殺に。球の行方を確認すると、グラブをポンッと叩いた。
前回3日のソフトバンク戦(マツダ)では4被弾で敗戦。慢性的に首、肩痛を抱え、登板3日前のブルペンも控えている。通常なら登板2日後の休養日を3日後に変更。「41歳。休む暇はない」と回復、調整に必死だが、求めるのは現状維持ではなく、進化だ。
「自分のルーティン通りにならないことも多くなってきた。その日、その日で考えてやっていく。昨日よりも今日。現状維持ではいけないので、追い込むときは追い込んでね」
5月27日のDeNA戦(横浜)後、29日に大阪で途中下車した。6月2日は2002年に他界した母・靖子さんの命日。大阪・堺市に両親が眠る墓を参った。「良いタイミングだった。母には当時、いろいろしつけられましたね。最後までやる、一生懸命やることが求められているので」。天国の母に約束した。
「チームの力になりたい」と志願して8回まで投げた。自身5勝目でチームは連勝。貯金は今季最多タイの7だ。日米通算200勝まで、あと2勝。「先のことを考える余裕はない。まず次の登板です」。黒田は歩みを進める。1球の重みを体現しながら、勝利へ全力で駆ける。