黒田またお預け…大偉業重圧6失点KO
「広島0-6巨人」(13日、マツダスタジアム)
地元でも快挙達成はならなかった。日米通算200勝に王手をかけている広島・黒田博樹投手(41)が、七回途中、今季ワーストタイの6失点で降板。5敗目を喫した。次回登板は球宴後の23日、マツダでの阪神戦が濃厚。今度こそファンを笑顔に変え、1996年以来の首位ターンとなったチームをさらなる上昇へ導く。
広島の夜空に白球が舞い上がった。鯉党の悲鳴とG党の歓喜の声が交差する中、左翼席に吸い込まれた。大粒の汗をぬぐい、唇をギュッとかみしめる。村田に許した2ランを、黒田は悔やんだ。
「五回までは何とかしのいだけど。試合展開的に、あのホームランは一番、痛かった。勝負にいった球を完璧に打たれた」
阿部の右前適時打で0-2となった六回2死一塁。ツーシームを捉えられた。二回、阿部のソロで先制点を献上。すぐさま立ち直り三回以降は粘りの投球でスコアボードに「0」を並べていた。それだけにリードを4点に広げられる中押し弾は、試合の主導権を完全に手放す一撃になった。
志願した七回は、坂本の中前打などで2点を失った。球数が110球を数えたところで緒方監督がベンチを立った。来場者全員に200勝応援ポスターが配られ、大歓声に迎えられた一戦は、七回途中10安打6失点。「たくさん応援に来てもらった。結果で応えたかった」。今季ワーストタイの失点で5敗目を喫した。
常に巨人は特別な存在だった。97年にプロ初登板初先発し、初完投で初勝利を飾ったのは巨人だった。通算100勝目を挙げたのも宿敵から。「いつの時代もいい選手がそろう。毎年、優勝を狙え注目されるチーム」。当時カープは低迷期だったが「地方球団の意地を見せたい」と言ったこともある。巨大戦力には絶対に負けない-。強い反骨心と向上心が右腕の原動力だ。
球宴などで登板機会があくが、出場選手登録は抹消しない方向。次回登板は23日の阪神戦が濃厚だ。「マツダで節目とチームを勝利に導く投球をしてもらいたい」と指揮官。再び本拠地での偉業達成を目指す。
セ界の貯金を独占する「19」で、首位で前半戦を折り返した。「常に次の試合、次の試合と考えている。しっかりした状態で次のマウンドに上がる」と前を見据えたレジェンド。誰もが心待ちにする1勝を手にして、悲願へ突き進むチームに大きな力を与える。