会沢弾!正妻・石原離脱…鯉党の熱きゲキ「お前しかいない」
「ヤクルト6-4広島」(3日、神宮球場)
接戦を落として、広島の連勝は2で止まった。正捕手の石原慶幸捕手(36)が負傷離脱したピンチに会沢翼捕手(28)が1カ月ぶりの4号ソロ。豪快な一発で意地を見せたが、投手陣が崩れて逆転負けを喫した。2位・巨人とは7差。緒方孝市監督(47)は「ここで止まるわけにはいかない」と前を向いた。
左半分を赤く埋めたスタンドから、下を向いて歩く男に声が飛ぶ。「頼むぞ」。「お前しかいない」。全ての言葉を全身に受けながら、会沢は前を向いて言葉を絞り出した。豪快な一発にも笑みはない。捕手として敗戦の責任を背負った。
「インサイドのツーシーム。もう少し慎重に入るべきでしたね」。開口一番に振り返ったのは七回、山田に喫した勝ち越し2ラン。2死三塁。豪打の4番打者に対して初球、内角高めを要求したが、球1個分、中に入ったヘーゲンズの147キロは左翼席に消えた。
節目の100試合目。投手陣に疲れが見え始めている。先発の九里が4失点、41試合目の登板となったヘーゲンズが2失点。「そこは共同作業なので。僕がもっともっと頑張っていかないと」と会沢。捕手として勝利に導けなかったリードを悔やんだ。
連勝が続く2位・巨人とは、これで7ゲーム差。まだ慌てる数字ではないが、チームには試練が訪れた。正捕手の石原が、2日のヤクルト戦でバレンティンの空振りしたバットを後頭部に受け、出場選手登録を抹消された。今季62試合に先発出場するベテランの離脱。戦力ダウンは計り知れない。
「僕がしっかりやらないといけない。僕自身、悔しい思いもある」。正捕手を狙った今季、2番手の座に満足してはいない。不在のピンチをチャンスに変える。2点差の五回に相手エースの小川から、左翼席中段に豪快な4号ソロ。続く六回に丸の2ランが生まれ、一時逆転の呼び水となった。
「でも、負けてしまったので。もっともっと貢献できるように。明日、明日。頑張っていきたいです」
最後は競り負けたが、緒方監督は力強く選手を鼓舞する。「勝ち切れなかった。こういう試合をモノにしないとね」。目指す25年ぶりの頂点へ。手綱は緩めない。「選手は成長しているが、ここで止まるわけにはいかないから」と指揮官。リメークドラマはさせない。正捕手不在の危機も、一丸野球で乗り切る。