新井、勝負強ぇ~先制ソロ!犠飛!適時打!
「阪神0-5広島」(16日、京セラドーム大阪)
頼れるベテランだ。広島の新井貴浩内野手(39)が、勝負強く3打点の活躍で勝利に貢献した。二回に先制の14号ソロを放つと、その後も2打点を挙げた。ヤクルト・山田に並ぶリーグトップの84打点。チームは3カード連続で、カードの初戦に勝利。貯金を「21」に戻し、25年ぶりの優勝へ向けてまた一歩、前に進んだ。
球場の左半分を真っ赤に染めた鯉党の大声援に、男は帽子を取って応えた。先制弾を含め、2安打3打点と大暴れ。首位をがっちりとキープ。四半世紀ぶりの頂点を目指すチームにまた、大きな推進力をもたらしたのは新井だった。
「先頭バッターだったし、どんどん振っていこうと思っていた。普段はあまり初球を振らないけど、前回やられているからね」
0-0の二回。能見の高めに浮いた直球を右中間席に突き刺した。前回10日の対戦では七回途中まで1得点。この試合の初回も菊池、丸が2者連続三振を喫するなど完ぺきに封じられた。甘い球を一振りで仕留めた先制の14号ソロは、ナインに勇気と力を与えた価値ある一発だ。
三回に右犠飛。五回には左前適時打を放った。今季の対能見は打率・438。キラーぶりを発揮し、この日は3打点だ。打点はヤクルト・山田と並ぶリーグトップの84打点。緒方監督は「本当に新井さんはすごい。お手本のようなバッティングを見せてくれた。KJ(ジョンソン)が素晴らしいピッチングをしてくれたけど、きょうは新井さんだね」と最敬礼した。
若かりし頃、旧広島市民球場のブルペンでの早出特打が、新井の日課だった。ひたむきにバットを振り、技術を磨いてきた。11日の阪神戦前、炎天下にもかかわらず、カープ復帰後初めて若手に交じり、志願の早出特打を行った。「状態が落ちている。下半身の使い方を中心に確認しておきたかった」。13日のDeNA戦前には、敵地ながら東出打撃コーチと約1時間、室内練習場で打ち込んだ。この日の本塁打を振り返り「下半身で打つことができた」。本来の勝負強さが戻った。
3カード連続でカードの初戦を白星で飾った。「頭を取ると気分的に乗っていける」としながら「でもまたあした、大事な試合がある。みんなで頑張っていきたい」と前を向いた。一戦必勝-。チームを引っ張る39歳のベテランが、何より頼もしい。