黒田Vスクイズ!投げても7回0封!広島5連勝で今季最多貯金24
「広島2-0ヤクルト」(20日、マツダスタジアム)
広島の黒田博樹投手(41)が、7回を2安打無失点で8勝目だ。二塁すら踏ませぬ熱投で、日米通算200勝を達成した7月23日の阪神戦(マツダ)以来、約1カ月ぶりの白星。四回に自ら先制のセーフティースクイズも決め、先発登板での通算200勝の節目を飾った。チームは5連勝で貯金は最多24に。2位・巨人も勝ちゲーム差は変わらないが、最短23日にマジックナンバーが点灯する。
登板を終えた黒田から、思わず本音がこぼれた。「苦しかったです」。7回を2安打無失点の圧投も、決して本調子ではなかった。それでも約1カ月、登板4試合ぶりの勝利で8勝目。ヤクルト打線を寄せ付けず、チームを5連勝に導いた。
「ここ何試合も調子がいいと感じたことがない。今日はブルペンから体が重くて、いつも以上に球がいってなかった。開き直ってリード通り投げました」
不調の黒田を支えたのは、石原のリードと父から学んだ強い心だ。初回、先頭西浦に中前打を浴びたが、二盗を阻止。以降は安定した投球だった。五回に鵜久森に四球を与えるまで走者すら許さず、二塁を踏ませぬ熱投。七回2死からバレンティンをスプリットで空振り三振に仕留め、無失点で役目を終えた。
8月17日は南海などで活躍した父一博さんの命日(享年82)だった。「思い返さないと。心の中で感謝しないといけない」。日米通算200勝に達し、口にしたのは両親への思いだ。憧れだったプロの道を諦めかけた時、父に「お前の夢は何だ」と問いかけられた。
「厳しかったですね。プロの世界を知っている人からすれば、厳しくなるのは仕方がない。プロとして結果を出し続ける、勝負の世界で生きるすべを教えてもらいましたから」
プロ20年。勝ち続けなければ、生き残ることができない世界だ。勝利への執念は四回、バットでも魅せた。1死一、三塁で打席に立つと、セーフティースクイズで先制点。これが決勝点となった。「サイン通りですから」。41歳になった今も、登板前はバント練習を欠かさない。攻守で黒田が殊勲者になった。
野茂英雄に並ぶ日米通算201勝目は、節目の先発200勝目だ。チームの貯金を最多24とし、最短で23日にマジックが点灯する。「チームが勝ったことが一番大きい。共に苦しいシーズンを戦っていきましょう」。スタンドを埋め尽くしたファンと、全力でゴールテープを切る覚悟を示した。次戦も見据えた88球降板。残り29試合。レジェンドの背中に導かれながら、チームは一気に頂点まで駆ける。