野村V原動力「最高にうれしい」マエケン不在感じさせず
「巨人4-6広島」(10日、東京ドーム)
たくましく、広島投手陣の柱に成長した野村祐輔投手がいた。歓喜のとき。一気にベンチから駆け出す。ふがいない投球を責め続けた過去の自分はもういない。笑顔の花を咲かせ、自然と拳も突き上げた。
「最高にうれしい。チームで戦ってここまで来ることができた。良かったです」
開幕からローテを守った。6月に右肩に痛みが出た。古傷でもあり登板回避の話が出たが、首を縦に振らなかった。「とばさずに投げるのが目標だったから」。腰や左足にアクシデントが起こった終盤も同じ。開幕前に誓った信念を貫き、マウンドに立ち続けた。
自分の信じた道を、突き進んできた右腕は今年、さまざまな人に助言を求めた。黒田に積極的に話しかけ、オールスター中には新井と食事に出掛けた。「いろんな角度から話を聞いた」。12勝した13年以降、下降線をたどった成績。自らの殻を破ることで、ここまで自己最多の14勝と白星を積み重ねた。
海を渡った前田の不在を感じさせない活躍は、優勝の大きな原動力だ。プロ初完封した4月27日のヤクルト戦(神宮)を「自信になった」と言い、「最後までマウンドを譲りたくないんです」と前を見据える。絶対的な存在へ-。真のエースへと歩む道が始まった。