広瀬さらば「苦しいときに声援を送ってくれた」心からのうれし泣き
「広島3-1ヤクルト」(1日、マツダスタジアム)
「苦しいときに声援を送ってくれた…」。こみ上げる感情を広島・広瀬純外野手は抑えることができなかった。引退のあいさつ。感謝の思いが胸いっぱいに広がる。泣かないと決めていた。それでも自然と熱いものが両頬を伝った。
「何とも言えない感情が湧き上がってきた。ありがたい気持ちだった」。心からのうれし泣きだった。
七回1死一塁。黒田に代わって打席に立った。2球目の直球を左翼方向へ。「ちょっと詰まった。でも自分らしい打撃ができた」。左飛に倒れたものの、持ち味の積極性を貫き通した打席に悔いはなかった。その後はかつての定位置だった右翼の守備へ。今季45度目の逆転勝利の瞬間をグラウンドで迎えた。
思いは後輩へと受け継がれる。自身の応援歌「広島伝説」の一節は菊池が引き継ぎ、喜びの瞬間に披露する「敬礼ポーズ」は丸が継続していく。七回、自身のバットで決勝打を放った松山も闘争心を胸に宿していく。
「チームとしての強さを見ることができた。CS、そして日本シリーズを勝ち抜いてくれると思う。もっと、もっとカープは強くなっていきます」。チームメートの手で5度胴上げされた後、おかわりでもう一度宙を舞った。涙はない。最高の笑顔の花を咲かせ、広瀬が別れを告げた。