広輔驚異のCS出塁率・929 1番神ってる男が日本S進出決める
「セCSファイナル・第3戦、広島0-3DeNA」(14日、マツダスタジアム)
セ・リーグはDeNAが3-0の完封勝利。初黒星を喫した広島だが、有利な状況は変わらない。アドバンテージを含めた対戦成績は広島の3勝1敗。しかも1番・田中広輔内野手(27)が3安打と絶好調だ。今シリーズは3戦で9打数8安打の打率・889、2014年CSファーストSを合わせると、CS通算は10打数9安打で驚異の打率・900。不動の切り込み隊長が、25年ぶりの日本シリーズへ導く。
熱狂が冷めると、夜風が身にしみた。想定外の0行進。CSファイナルS無敗突破を逃す零封負け。3万を超える大観衆のため息が、マツダスタジアムに充満した。ただ、うつむく必要はない。田中がDeNAに切り込み、爪痕を残した。
CS通算打率・900の“ポストシーズン男”。敗戦後、チームメートの思いを代弁するように前を向いた。
「今日は今日で切り替えて、また明日頑張りたい」
勝利への執念をプレーで体現した。CSファイナルS2試合目までで、8打席に立ち7出塁。「いい感じで打席に入れている」。不動の1番打者は、前日までの勢いをこの日も持続していた。
初回無死はライナーを中前へ運んだ。三回1死は高いバウンドのゴロで二塁内野安打。八回1死一塁も右前打を放ち、最大の見せ場となった2死満塁へとつなげた。
六回も四球を選んでおり、4打席全てで出塁した。CSの通算出塁率・929。得点にはつながらなかったが再三、好機を演出した。社会人時代はJR東日本で、負けたら終わりの一発勝負を経験。短期決戦の怖さを熟知しているからこそ、1球への集中力は高い。
ファンの期待も高まっている。打席に立つと、球場全体が盛り上がる。緒方監督も同様だった。
「広輔が1打席目から出塁してくれた中で、何とか1点を取れていればね。攻撃も1本出ていればという流れに持って行けた。明日、もう一回。向こうもいいプレーが続いている中で、こちらとしても気持ちで負けていない」
指揮官の期待を感じながらも、田中に浮かれる様子はない。「僕の走塁ミス」と猛省するプレーもあった。一走として迎えた六回無死一塁。菊池が空振り三振した際、捕手・戸柱がワンバウンドの変化球を前へはじいた。振り逃げはできない場面だったが、菊池が思わず一塁へ走りだすと、田中も中途半端に飛び出し、二塁で憤死。「(菊池の動きに)つられてしまった」。冷静に振り返りつつ、気を引き締め直した。
反省は次戦に生かす。チームは15日の第4戦に勝つか引き分けで、25年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。優位な状況は変わらない。悲願の舞台はもう目前。“神ってる”田中が歓喜の瞬間へと導く。