鈴木誠也 九回意地の三塁打 1、2戦無安打から復調マルチ
「日本シリーズ・第3戦、日本ハム4-3広島」(25日、札幌ドーム)
鯉の背番号51が、北の大地に快音を響かせた。スタンドから割れんばかりの大歓声が降り注ぐ。広島・鈴木誠也外野手の執念の一撃。試合の流れを一気に引き戻した。
「何とかつなごうという意識で打席に入った」。1点を追う九回だった。先頭で迎えた第4打席。カウント2-2からの6球目、谷元の外角高めに浮いた直球を捉えた。打球は右中間を真っ二つ。俊足を飛ばして、一気に三塁を陥れた。
球場のボルテージは最高潮に達したが、続くエルドレッドが三振、松山が遊飛に倒れて2死。ベンチに諦めの雰囲気は全くない。安部の右前打で、鈴木が同点の本塁を駆け抜けた。
本拠地で迎えた第1戦、第2戦ともに無安打に倒れた。「楽になりました」と、念願の一打をマークしたのは、1点を先制された直後の二回だ。1死走者なしで打席に立った。有原の初球、内角への147キロ真っすぐをフルスイング。詰まりながらも左前に落とし、エルドレッドの逆転2ランを呼び込んだ。
32年ぶりの日本一に初の足踏みとなったが、「そんなに簡単にいくとは思ってはいない。自分たちの野球はできていると思います」と前を向く。復調の兆しを見せた若鯉が、バットで勝利をたぐり寄せる。