【専門家の目】胃がん公表の広島・赤松選手 開幕から戦列復帰できる可能性も
広島の赤松真人外野手(34)が28日、広島市内の球団事務所で記者会見し、胃がんを患っていることを公表した。12月に広島市内の医療機関で受けた健康診断で発覚。来年1月上旬に、広島市内の病院で手術を受ける。「松本クリニック」(兵庫県芦屋市)の松本浩彦院長に聞いた。
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今回、赤松選手に初期段階の胃がんが発見されたということですが、初期段階ということは私の見解として、ステージ1か2であると思われます。
胃には粘膜を覆う「固有筋層」というものがあり、これを越えているか、越えていないかで早期がんか、そうでないかが決まります。内側にとどまっていれば、99%治ります。
胃の切除範囲が半分になるのか、3分の2になるのか定かではないようですが、切除範囲はがんができた場所によって決まるもので、決して悪性度とは比例しません。
ここ20年で胃がんの術式は飛躍的に進歩しており、近年にはTS-1という胃がんによく効く抗がん剤も発見されました。最新技術をもって、最善の手術をすれば、ほぼ治る可能性が極めて高いと期待できるでしょう。
開腹ではなく、腹腔鏡手術ということですので、プロ野球選手にとって大切な腹筋を大きく切らずに済みます。うまくいけば、球宴明けの戦列復帰も期待できますし、シーズン開幕から戦列復帰できる可能性もあると思います。
赤松選手は「手術を受けて復帰した前例になりたい」とお話しされたようですが、それは夢でも何でもありません。十分に可能性のあるお言葉だと思います。戦列復帰してもらえることを信じて、応援したいと思います。
◆プロフィール 松本浩彦(まつもと・ひろひこ)兵庫県芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、(社)日本臍帯・胎盤研究会会長。