堂林復活へ火の如し…新井さんについていく!初の護摩行失神寸前
広島の堂林翔太内野手(25)が11日、鹿児島市の烏帽子山最福寺で初めて護摩行に臨んだ。目の前に迫る約3メートルの火柱に失神寸前になりながらも、お経を唱え続けた。昨季終了後、新井に弟子入りを志願。何度も直訴して実現した荒行参加だ。殻を破り、復活を期す男が、炎に立ち向かい心を鍛えた。
目の前に天井まで届きそうな約3メートルの火柱が上がる。気絶しそうな自分を、堂林は心の底から絞り出す声で懸命に支え続けた。己を変えるため、新井に頭を下げて同行した初めての護摩行。最後までやりきる-。その一心が、自らを突き動かしていた。
「想像していた以上の熱さ。序盤で手足がしびれ、声を出さないと気を失ってしまいそうだった。でも、これが野球につながると思うし、この経験を無駄にはしたくない」。真っ赤にただれた顔ながら、力強い言葉で前を見据えた。
今回が13度目の参加となる新井の横に座った。1本ずつ護摩木がたかれるたびに、炎は勢いを増していく。「新井さんが大きな声を出されているので、ついていこうと必死だった」。白煙と熱風が室内を充満し呼吸すら難しい。後ろには壁がある。一切の逃げ道がない状況で、火の粉で顔を腫らしながら無心で声を張り上げ続けた。
殻を破るために一念発起して臨んだ荒行だ。昨季終了後、新井に弟子入りを志願した。それは同じジムでのトレーニングや打撃指導だけにとどまらなかった。全144試合に出場した12年以降、成績は下降線をたどる。昨季出場はわずか47試合。リーグ優勝の瞬間には、どこか心の底から喜べない自分がいた。
「もう悔しい思いはしたくない」。確固たる技術を身に付けるほかに、復活への鍵を精神面の変化が必要と自己分析。「今までの悪いところをリセットできると思って」。心を鍛えたかった。
護摩行2日目の12日は、さらに炎の強さが増すという。腹はくくっている。どんなに熱くても、苦しくても耐え抜く覚悟。その強く熱い気持ちで灼熱(しゃくねつ)の炎と対峙(たいじ)する。
「変われると思ってここに来たので。もっと泥くさく。今年は気持ちの面でも泥くさくやっていきたい」。プロ人生を左右する1年だと自覚する。大きな岐路に立つ17年シーズン。荒行に耐え抜き、新境地にたどり着いた先に、誰もが待ち望む背番号「7」の復活がある。