黒田氏が新井を遊ゴロ斬り 真剣勝負「新井の時だけ」ギアチェンジ
真剣勝負は黒田の勝ち!名球会東西対抗戦が15日、宮崎市のサンマリンスタジアムで行われ、昨季限りで現役引退した前広島の黒田博樹氏(41)と広島・新井貴浩内野手(39)の夢対決が実現した。真っ向勝負の結果は黒田に軍配。初参加の2人が名球会イベントを盛り上げた。
黒田氏が勝負師の顔に戻った。1点リードの四回2死から新井との対戦が実現。最初で最後かもしれない夢対決にスタンドのボルテージは最高潮に達した。そのファンの熱気に応えるように、目いっぱい腕を振る。130キロ台の直球を続け、最後は外角低め134キロで遊ゴロに仕留めた。
「気持ち良くマウンドに上がれました。新井だけには打たれたくなかったので。対戦は最後だと思う。いい思い出ができました」
わずか3球に、黒田らしい魂を込めた。前打者まで球速は120キロ台止まりだったが、「新井の時だけ」とギアチェンジ。胸元へ投じた2球目は「行くならもうちょっと行きたかったけど…、まあ現役なので」とニヤリ。2ストライクと追い込んでも三振に色気を見せず「あそこで変化球を投げたら大人げないので、ちょっと芯をずらして」と笑わせた。
王、江夏、張本…。そうそうたる名球会メンバーの中でも主役は初参加の2人だった。西チームの黒田氏は四回に新井と対戦するため、投手不足の東チームへ“移籍”。先頭で迎えた広島の先輩・前田氏を中飛、続く福留も右飛に仕留めて2死とすると、山本理事長の計らいで4番新井が3番に繰り上げられ、夢対決の舞台が整えられた。
「カープファンの方にも来ていただいていたので、喜んでいただけたらと思って精いっぱい投げました。今日は本当に楽しかった。せっかくこういう場を与えてもらったので、楽しみながら投げさせてもらいました」
初体験の名球会イベントを黒田氏は満喫した。午前中の野球教室ではドジャースの先輩・野茂氏と談笑。「たくさんお話させていただいた。僕なんて足元に及ばないですけど。古田さんともバッテリーを組めた。思い出になりました」と感慨に浸った。
新井もすがすがしい表情だ。代打で初登場した二回、無死満塁は投ゴロ併殺。黒田氏との対決でも打ち取られ、「悔しいです!球が速かった。ここら辺(顔付近)に来るかと思ったけど、さすがになかったですね」と充実感をにじませた。13日に鹿児島での護摩行を終えたばかり。炎で顔は赤く腫れ、声もかすれていたが「今年も喜んでもらえるように精いっぱいプレーしたいと思う」。赤が目立つスタンドへ呼びかけた。
名球会でも広島勢が存在感を発揮。今年もカープが、日本球界を席巻しそうな気配だ。