鯉ドラ1加藤フリー初登板日南どよめいた 広輔「あの球は打てない」
「広島春季キャンプ」(7日、日南)
広島のドラフト1位・加藤拓也投手(22)=慶大=が、フリー打撃に初登板し、大物の片りんを披露した。鈴木、田中、菊池のWBC日本代表メンバーに対して計38球を投げ、安打性の当たりはゼロに抑えた。力強い直球で圧倒し、首脳陣の評価も上々。黄金ルーキーが徐々にベールを脱ぎ始めた。
注目のドラ1右腕がマウンドに上がった。初めてフリー打撃に登板した加藤。ダイナミックなフォームから投じられる剛球が、観客や打撃ケージ裏で見守る緒方監督の視線をくぎ付けにした。
「スタンドから見られているのは気にならないですが、後ろで見られているのを認識すると緊張しました。自分のタイミングでしっかり投げることができましたし、打者の反応も見られたのでよかったです」
打席に立ったのはWBC日本代表に選出された鈴木、田中、菊池の3人。昨季リーグ優勝に導いた主力に対したが、加藤は動じなかった。最初に迎えた鈴木への2球目。外角寄りの直球でバットに空を切らせると、球場からどよめきの声が漏れた。その後も伸びのある直球を中心に計38球を投じ、安打性の当たりはゼロと圧倒した。
「力を抜いて投げられるほど器用ではないので、力一杯投げました。いい当たりを打たれて気持ちいいはずはないので、抑えることができてよかった。しっかり投げた球はいい球がいって、ファウルになったりしていたかなと思います」
投球後は絶賛の嵐だ。対した田中が「ダイナミックなフォームで力強い。独特なフォームでタイミングも取りづらかった。この時期にあの球は打てません」とうなれば、緒方監督も「順調に来ている。バタバタすることなく、堂々としていた。打者の反応を見ていると打ちにくそうにしていた。力があり、差し込まれたような感じがある。今の時期では十分」と目を細めた。
他球団の007も警戒心を強めた。中日の井本スコアラーは「指に掛かったときはいいボールがいっていた。巨人の沢村みたいなタイプ」と巨人の守護神と重ね合わせた。
周囲の声とは逆に、加藤自身は冷静だった。半分の19球がボール球となった投球内容に「前に突っこんでしまって高めに抜けたり、引っかけてしまった」と反省も忘れない。今後は第3クールでシート打撃に登板予定。ベールを脱いだ黄金ルーキーへの期待度は高まるばかりだ。