ドラ1加藤、誠也のバットへし折った 広島期待のルーキー初実戦2回0封
「広島紅白戦、紅組6-0白組」(14日、日南市天福球場)
広島ドラフト1位の加藤拓也投手(22)=慶大=が14日、紅白戦で実戦初登板。予定の2イニングを投げ、無安打無失点に抑える上々のデビューを飾った。課題の制球も安定し1四球。自慢の直球は最速145キロを計測し、同級生・鈴木との対戦ではバットをへし折った。
折れた白木のバットが三塁ファウルゾーンへ飛んでいった。グシャ!という鈍い音がボールの威力の証しだ。半袖姿の加藤が、ついに本領発揮。4番・鈴木のバットを、根もとから粉砕した。
「四球になると思ったんですけど(笑)。前回(11日のシート打撃登板)もボールになることが多かったので、やばいなと…。変化球もありかなと思ったけど、真っすぐでいいかと」
同級生対決は2イニング目の1死走者なしで訪れた。同じ関東出身。中学時代から鈴木の名前は知れ渡っていたが、高校時代も対決なし。これが正真正銘の初対戦だった。いきなり3ボールとしたがフルカウントに持ち込むと、最後は内角低めへ、144キロをズドン!持ち味の剛球でバットを折り、遊ゴロにねじ伏せた。
気温の上昇とともに、ルーキーの状態は右肩上がりだ。三回から始まった紅白戦。2番手で七回からマウンドへ上がり、大器の片りんを見せつけた。1イニング目は1死一塁で好調の侍戦士、田中、菊池と対戦。堂々としたマウンドさばきで遊飛と右飛に仕留め無失点に。2イニング目も3人で料理した。勝負球はすべて直球だ。最速145キロを計測した剛球に「球の力が自分の武器なのでそれを出せているのかなと思う」と手応えを明かした。
最高気温12度の日南で他球団007も震え上がった。阪神・飯田スコアラーが「高めのボールは力があって良かった。投げるたびに良くなっている」と絶賛すると、ヤクルト・志田スコアラーも「スピンが多くて威力のある真っすぐだった。バッターは慣れが必要」と警戒。中日・井本スコアラーは直球でグイグイ押し込むスタイルを「巨人・沢村」とイメージを重ね合わせた。
それでも右腕は冷静に自分と向き合う。「ストライク先行」と「変化球でのストライク」を課題に挙げ、次クール以降の修正ポイントとした。先発か中継ぎか起用法は未定だが、可能性は広がるばかり。プロ1年目。自慢の剛球でグイグイ押し込み、切り開いていく。