「広島紅白戦、白組４－３紅組」（１９日、天福球場）

　広島のドラフト１位・加藤拓也投手（２２）＝慶大＝が１９日、紅白戦に２度目の登板。２イニングを投げ、１安打無失点に抑えた。最速１４７キロの直球だけでなく、スライダー、フォークも多投。次回は２次キャンプ地の沖縄で対外試合に初登板するが、１４日の紅白戦に続く好投で、開幕ローテ入りが見えてきた。

　想定外のフォークに鈴木のバットはクルリと回った。フルカウントからの勝負球。加藤は四球を避けるため、決め球をストライクゾーンに投じた。持ち味は直球だけじゃない。クレバーな投球で、またしても侍斬りだ。

　「ボール先行だったので、ゾーンに投げようと思った。（フォークは）カウントを取る球と低めの球を意識的に投げ分けています」

　今キャンプ２度目の実戦登板で新たな一面を見せた。三回から始まった紅白戦。ルーキーは五回からマウンドに上がり、直球中心のイメージを一変させた。まず先頭・野間をスライダーで一ゴロ。菊池には左前へ運ばれたが、バティスタを狙い通りの遊ゴロ併殺。上々の立ち上がりを見せると六回も圧巻だ。ＭＡＸ１４７キロの直球にフォークを多投。鈴木、下水流、安部に対してはいずれも勝負球に選択した。三者凡退で２回１安打無失点。前回１４日の紅白戦も２回無安打無失点。２試合連続の好投に、加藤も珍しく自画自賛した。

　「真っすぐを生かすために、変化球でカウントを取るのは大事なことなので。今日は良かったと思います」

　ネット裏の他球団００７部隊は熱心に新戦力を見つめた。阪神・飯田スコアラーは「変化球でカウントを取れるようになれば本来の真っすぐが生きるだろうね」とし、中日・井本スコアラーも「勝負球は力で押してくるから、変化球でカウントを取れたら、バッターも反応しにくくなる」と評した。

　プロ初のキャンプ。同期の存在がいい刺激になっている。ドラフト３位の床田も２試合連続無失点。「蹴落とそうとかは思っていない。タイプも違いますし。でも、お互い結果が出るのはいいこと」と切磋琢磨（せっさたくま）している。

　「投げるたびに良くなっている。こういうふうに状態が上がってくるところを見ると、先発枠で使いたいよね」

　これまで起用法について明言を避けてきた指揮官が、先発起用案を初めて言及。次回は２次キャンプ地の沖縄で対外試合に初登板し、３イニングを投げる予定。大学時代にキャンプを張った思い出の場所でどんな姿を見せるのか。怪腕から目が離せない。