今年も逆転のコイ! 安部が執念のサヨナラ打 5時間24分激闘制した
「広島9-8阪神」(1日、マツダスタジアム)
5時間24分の激闘を制したサヨナラ勝ち-。広島・安部友裕内野手(27)が8-8の延長十回1死二、三塁の好機で決勝の二塁内野安打。初回4失点の劣勢をはね返した今季初星。逆転の広島は今季も健在。リーグ連覇へ続く今季1勝目にマツダスタジムが沸いた。
チーム一丸で今季初勝利をつかんだ。延長十回1死二、三塁の好機で安部が「覇気」をバットに乗せた。「追い込まれていたので、吹っ切れました。バットに当てたら、何か起こると思った」。執念の二塁内野安打でサヨナラ勝ちをもぎ取った。
5時間24分の熱戦に終止符を打った。8-8の延長十回、1死からエルドレッドが左前打で出塁し、代走・上本がけん制悪送球で二進。続く代打・下水流の遊ゴロを糸原がファンブルして一塁に悪送球。1死二、三塁と好機が広がり、安部が打席へ向かった。
初球、2球目のフォークを空振りしたが、追い込まれたことで逆に吹っ切れた。カウント2-2から必死にバットに当てると、上本が決勝のホームに滑り込み、歓喜の輪が広がった。
試合後、緒方監督は「今、何時かな?5時間半か…」と時計に目をやり、「最後まで勝利を信じて大きな声で応援してくれたファンに感謝。勇気と力をもらった」と3万1609人のファンに最敬礼。「打線は諦めることなく、集中してウチらしい攻撃ができた」と、初回の4失点をはね返した粘りを納得顔でうなずいた。
WBCで日本を熱狂させた侍ジャパンばりに「結束」している。昨季は89勝のうち逆転勝ちが45度を数えたが、粘り強さは今季も健在だ。3月26日に開かれた決起集会では選手、首脳陣、チームスタッフが集結し、焼き肉に舌鼓を打ちながら、絆を深めた。以前は仲の良い選手がテーブルごとに固まる傾向があったというが、昨季から野手と投手が入り交じって、杯を交わしているという。締めのあいさつでは緒方監督が「リーグ連覇と日本一」を宣言。開幕戦こそ敗れたが、昨季から続くチーム一丸モードは継続中だ。
ヒーローの安部は途中出場ながら、3四球を選んだ。ベンチには「つなぎ」の意識が浸透する。ジリジリしたビハインドの展開でも「誰も諦めていなかった。追いつこう、追いつこう、あと1点、あと1点…」と声を掛け合った。お立ち台では鈴木に冷水をかけられ「明日も勝つ!」と叫んだ。リーグ連覇へ最高の1勝だ。