野村、打球直撃のアクシデント乗り越え7回1失点 通算50勝に到達
「中日1-7広島」(4日、ナゴヤドーム)
広島の野村祐輔投手(27)が今季初勝利を手にした。二回に打球が右足首を直撃するアクシデントに見舞われながら、粘り強く投げ7回4安打1失点。この1勝で通算50勝に到達。ナゴヤドームでの白星は2013年9月24日以来、1288日ぶりだ。チームもエース右腕の快投で3連勝。上昇気流に乗った。
何事もなかったかのように、野村がマウンドに上がり中日打線を手玉に取った。3-0の二回1死一、二塁。杉山を112キロのカーブで投ゴロ併殺打に仕留めた。「投げたかった」。アクシデントを感じさせない快投劇。初勝利は、リーダーとしての自覚を感じさせる1勝でもあった。
その回の先頭、平田の鋭い打球が、ワンバウンドして右足首を直撃。一塁への送球と同時に倒れ込んだ。ベンチに下がり治療を受けると数分後、マウンドに帰ってきた。阪神との開幕カードでは、中継ぎ陣がフル回転した。野村に降板する意思はなかった。
「徐々に腫れが出た」と畝投手コーチは言った。それでも緩急を使った投球で凡打の山を築いた。「粘って投げられた」と右腕。7回4安打1失点。バットでも2安打1得点の活躍を見せ、今季初勝利を手にした。
この日の勝利で通算50勝に到達したが「シーズンは始まったばかり。勝ち星を伸ばしていきたい」。登板110試合目での達成は、昨季限りで現役を引退した黒田氏の161試合、ドジャース・前田の122試合を上回るペースだ。
今年から先発陣のキャプテンを担う。広陵、明大と名門校を歩んで来た道のりで「初めて」の重責だ。「開幕ローテを狙う人がいれば、そうでない人もいる。一人一人個性があり、立場が違うけど全員が同じ方向を向くことが大事。それがチームの勝ちにつながる」
春季キャンプから積極的にコミュニケーションをとり一体感を高めてきた。ドラフト3位・床田は「最初は自分からほかの選手に話しかけにくかった。野村さんに話しかけてもらい楽になった」と感謝する。黒田氏の背中を2年間、見てきた。その立ち居振る舞いも参考にしながら、先頭に立っている。
99球での交代に「もっと投げたかったけど、次もあるので」と先を見据えた。連覇を狙うチームに、野村が勢いをつけた。「気持ちが折れなかった。今年は自覚を持ってやっている」と緒方監督。その信頼は揺るがない。