誠也、意地の一発 17試合76打席ぶり2号
「ヤクルト3-1広島」(21日、神宮球場)
神宮の夜空に高く舞い上がった白球が、左翼席最前列に飛び込んだ。この日、最も鯉党が沸いた瞬間だ。広島・鈴木は拍手喝采を浴びながらダイヤモンドを一周する。1日の阪神戦(マツダ)以来、17試合76打席ぶりの2号ソロだ。
0-2の五回。先頭で打席に立ち、石川の外角球を振り抜いた。「打ったのはシュートかな。しっかりと振り抜けた」。強いバックスピンが掛かり、失速しそうでしない。美しい放物線を描いた。
19試合を終え、無安打は2試合。打率・333で、12打点を記録している。それでも「自分では何で結果が出ているか不思議。とにかく必死です」という。集中力を研ぎ澄まして、無心で白球と対峙(たいじ)している。
若武者の一発で追い上げムードができたかに思えた打線はその後、沈黙。燕打線を上回る7安打を放ちながら、1得点に終わった。3連戦の初戦を落とし今季初の3連敗。緒方監督は「あと1本が出なかった」と振り返った。
引き分けを挟み10連勝をマークし、開幕ダッシュに成功。連敗中だが、貯金はまだ「6」ある。「(打線は)悪い感じはない。長いシーズン、こういうことはある。根気強くやっていく」と石井打撃コーチ。耐えて連敗を止め、再び上昇気流に乗る。