岡田 健闘、6回1失点も雨と無援に泣く… 屈辱力に「次は0点」
広島・岡田明丈投手(23)が雨が降りしきる中、6回6安打1失点と力投したが、白星を手にできなかった。昨年4月28日に1回途中KOされた神宮で、成長した姿を見せた。ただ、チームは打線が振るわず、七回裏途中降雨コールド負けで今季初の4連敗。3カード連続の負け越しとなり、2位巨人に0・5ゲーム差に迫られた。
黒星という結果は同じでも、内容はまるで違う。堂々としたマウンドさばきが進化の証しだ。1年前、屈辱にまみれた神宮で、岡田が成長した姿を見せた。
「真っすぐが一番自信のある球なので。腕を振って自分の球を投げられたと思います」
自信たっぷりに直球を投げ込んだ。0-0の五回だ。先頭中村の左中間三塁打で絶対絶命のピンチを背負ったが、8番大引は148キロ、小川はこの日最速151キロ、坂口に対しては148キロの速球で圧巻の3者連続空振り三振に斬り捨てた。
緒方監督が「いい投球をした。今日もいい球が多かった」と評したように、大粒の雨が降りしきる中、懸命に腕を振り続けた。だが六回に落とし穴が待っていた。先頭荒木に左前打、続く山田にこの日初めて四球を与え、無死一、二塁。4番バレンティンを迎え、フルカウントからの6球目だった。スライダーを低めに変化させたが、長い腕を伸ばされ、三塁線をギリギリ破られた。この先制二塁打が唯一の失点だった。
「コースも高さも悪くなかったけど、腕が届いた。引っかけてファウルと思ったんですけど…。先頭を出して苦しい展開にしてしまいました」
試合後、静かな口調に悔しさがにじんだ。それでも6回6安打1失点は合格点。3試合連続の好投に、岡田も手応えをつかみつつある。「先発としての仕事はできている。後ろの投手に迷惑が掛からないように、6回以上は投げたい」と自覚を口にした。
あの夜の神宮も雨が舞っていた。16年4月28日。プロ2度目の先発マウンドに上がった岡田は自分を見失っていた。先頭から3者連続四球。雄平、大引に適時打を浴びるなど、わずか1アウトしか奪えず、4四球6失点(自責2点)で、プロ初黒星を喫した。「あれがあったからしっかり投げられていると思います」。今では素直にそう言える。
屈辱を力に変えて、2年目の成長につなげてきた。チームは今季初の4連敗を喫したが、下を向くつもりはない。「先に点を取られないように次は0点に抑えたい」。この夜に感じたもどかしさも、成長へのエネルギーとするだけだ。