中村祐、初登板初先発初勝利 でかした4年目若鯉!ローテ6番手へ一発快投
「広島7-4中日」(3日、マツダスタジアム)
広島の中村祐太投手(21)がプロ初登板初先発でプロ初勝利を挙げた。球団の高卒投手では2006年10月1日・巨人戦(東京ドーム)での斉藤悠葵以来11年ぶり。5回を5安打3失点の粘り強い投球と味方打線の援護もあり、記念の白星を手にした。チームは今季10度目の逆転勝利で2カードぶりの勝ち越しが決定。鯉のぼりの季節に頼もしい新戦力が芽を出した。
ナインとハイタッチを交わすと、ホッとした表情を浮かべた。中村祐に満員のスタンドから大歓声が注がれる。落ち着いたマウンドさばきで、5回を5安打3失点。五回の攻撃で代打を送られたが、味方の逆転劇で白星が転がり込んできた。プロ初登板初先発を初勝利で飾り、初経験のお立ち台では「すごい最高です。頼もしい野手の方に感謝したい」と笑顔がはじけた。
初の1軍舞台では立ち上がりから苦しんだ。初回、先頭の京田に二塁打を浴びるなどして、あっさり先制点を献上。二回も2本の安打で1点を奪われた。「球が荒れているわけではなかったので、焦ることはなかった」。自己最速タイとなる147キロの直球を軸にその後の3イニングを1失点で踏ん張った。
高卒4年目の21歳。プロでのスタートは衝撃的だった。入団して間もない頃、大野練習場に私用で訪れていた黒田氏(当時ヤンキース)と遭遇した。「テレビで見ていた人。すごく大きいと思いました。体もそうですけど雰囲気もすごかった」と振り返る。「頑張れよ」と声を掛けられ、舞い上がった。
翌15年、黒田氏が日本球界に電撃復帰。1軍での再会を夢見たが、自身はケガに泣かされ続けた。2年目は右足内顆(か)疲労骨折で手術を経験。3年目は1軍キャンプに抜てきされながらも、6月下旬に右肩痛で離脱を余儀なくされた。
今年も春季キャンプから1軍に帯同。3月上旬に2軍降格したが、中崎ら先輩投手のトレーニングを参考にして独自のルーティーンを確立し、はい上がってきた。黒田氏は昨季限りで現役を引退。同じ舞台でプレーする夢はかなわなかったが、同じプロ初登板で初勝利を達成。大先輩は初完投という快挙も成し遂げている。完投、完封は次なる目標だ。
緒方監督は「よく投げてくれた。思った以上にいい真っすぐが投げられていた印象がある」と新たな戦力の台頭に目を細めた。
プロとしての第一歩を踏み出した右腕。「球数を減らして、長い回を投げられるようにしたい」。5回103球での初勝利に浮かれることなく、早くも次回登板を見据えていた。