緒方監督悪夢「記憶にない」9点差大逆転負け…投手陣総崩れ、首位陥落
「阪神12-9広島」(6日、甲子園球場)
広島が歴史的な大逆転負けを喫し、首位から滑り落ちた。中盤までに大量9点をリードしながら、投手陣が総崩れで敵地に散った。9点差をひっくり返されたのは、95年7月30日の中日戦(広島)以来、22年ぶり2度目。緒方孝市監督(48)は「自分でも記憶にない」と力なく振り返った。
ロッカーから姿を見せた緒方監督はしばらく沈黙し、バスへと歩を進めた。階段へ足を掛けた瞬間、ようやく試合を振り返った。「いろんな要因があって、こういう結果になった。オレに責任がある。9点差をひっくり返されるというのは記憶にない。勝たないといけない試合だった」。歴史的な敗戦。悔しさを押し殺して、表情を変えずに言葉を紡いだ。
初回から好調の打線が一気呵成(かせい)に攻め立てた。安部の適時打や丸の2ランなどで五回までに9得点した。暗転したのは9-1で迎えた六回から。先発の岡田が突如、崩れた。
高山への四球から無死二、三塁とすると、糸井の二ゴロの間に1点を献上。2死一、三塁から鳥谷に適時内野安打を浴び、暴投でこの回3点目を失った。動揺を隠せず梅野へ四球を与えたあと、緒方監督がベンチを出た。交代した中田も押し出し四球、高山に3点適時三塁打を許した。計7失点。リードは1点になった。
岡田は今季、プロ初完投勝利を飾るなど勝ち頭としてチームをけん引してきた。「(ピンチで踏ん張れるのが)去年から一番の成長だった。六回は最低でも頑張ってくれるとみていた。修正がきかなかった」と指揮官。5回2/3を4安打7四死球7失点だった右腕は「チームに申し訳ない」とうつむいた。
9-8の七回は、1死一、二塁で鳥谷の打球を二塁・西川がファンブル。本塁を突いた二走・江越は、リプレー検証でアウトとなったが、3番手・薮田が流れを引き戻せず糸原、梅野に適時打を浴びて逆転を許した。9点リードを守れず喫した敗戦は95年以来、22年ぶり2度目の悪夢だ。
活発な打線とは裏腹に、投手陣は危機的状況だ。4試合連続で先発が6回を投げきれない。中継ぎ陣への負担は膨らみ、チーム防御率はリーグワーストの3・84。順位を気にする時期ではないが、4月8日から守り続けてきた首位の座からも転落した。「黒星を引きずらないように?もちろん。また明日も試合があるわけだから」。どんなに痛い敗戦も1敗は1敗。緒方監督は前を向いて、バスに乗り込んだ。