広島・九里、4年目の進化に迫る…シュートの切れ味が増したワケ
広島・九里亜蓮投手(25)が開幕から先発ローテーションを死守している。今季はここまで8試合に先発し、3勝4敗、防御率4・37。開幕連勝スタートを切った後、打ち込まれる試合もあったが、再び上昇の兆しを見せている。プロ4年目の進化に迫った。
死球を恐れず、グイグイ内角をえぐる。九里が投球スタイルを確立した。最大の武器はシュートだ。右打者に対してシュートで腰を引かせ、外角のスライダーやフォークで空を切らせる。昨季までのイメージとのギャップに、他球団の選手は手を焼いているようだ。
阪神・原口「なかなか狙っても打てない。準備はしているけど、イメージとはまた違った感じだったので」。
2度の対戦を終えた原口はシュートの軌道に目を丸くした。畝投手コーチも「これまでと比べて、バッターの近くで変化するようになった」と証言する。
九里に聞けば、昨季からシュートの握りは変えていないという。キレ味が増した理由は投球フォームにあった。今季からノーワインドアップの際、左足を従来のプレートの後ろではなく、一塁側に出すように変更。上体のブレは小さくなり、前へ突っ込んでしまう悪癖が解消されたという。
ただ、左打者に対してはやや苦戦している。右打者は被打率・179と抑えているが、左打者は同・330。相手のスタメンに左打者が並ぶことが次第に増えていった。
ここでもクローズアップされるのが「少し変化させている」という内角直球だ。ボールゾーンからストライクゾーンに変化させる「フロントドア」に打者の腰はピクッと引く。燕打線の4番も、九里の投球術の進歩を感じているようだ。
ヤクルト・雄平「去年より丁寧に投げている。内外角の投げ分けがしっかりしていた」。
開幕2連勝の後、3連敗を喫したときも「インコースにしっかり投げ切ること」で脱した。九里本人は「三振を狙うピッチャーじゃない」と言うが、奪三振率も上昇。昨季は80回を投げて奪三振52だったが、今季は47回1/3で同42。オフのトレーニングによって、球速は140キロ台後半を計測。テーマに掲げる「打者との駆け引き」に力強さも加わった印象だ。
今季3勝はすでに自己最多だ。ジョンソン、野村が離脱する中、タフネス右腕の存在は頼もしい限りだ。リーグ連覇へ向けて、週末ローテをガッチリ支えていく。