衝撃の赤い新怪物デビュー バティスタ、来日初打席代打で逆転弾
「交流戦、広島6-5ロッテ」(3日、マツダスタジアム)
広島のサビエル・バティスタ内野手(25)が衝撃デビューを飾った。1点を追う六回無死二塁、代打逆転2ラン。支配下選手登録されたその日に、自慢のパワーを見せつけ、チームの連敗を止めた。外国人選手が代打での初打席に本塁打を放つのは史上初の快挙。鯉に新たな怪物が生まれた。
すさまじい打球が、バックスクリーン右へ突き刺さった。ファンはもちろん、ナインも指揮官もビックリ。支配下選手登録を勝ち取ったばかりのバティスタが、初打席で代打逆転2ラン。カープに新怪物が誕生した。
「パワーには自信があるので、コンパクトにスイングすることだけ心がけました。逆転につながるホームランになったので、最高の結果になりました!」
1軍初打席に進化が凝縮されていた。1点を追う六回、無死二塁の好機に代打で登場。初球ストライクから、際どいボールを2球見極め、4球目の直球をバットの芯に乗せた。
「ホームランは狙っていなかったよ。ベルトゾーンをイメージして、低いボールは捨てていたんだ」
1軍に初昇格した試合前のフリー打撃でも左投手に対して、中堅から右方向へコンパクトな打撃を徹底した。本人が「パワーはあるからコンパクトに打てば本塁打になる」と強調するように、当たればとにかく飛ぶのだ。今季2軍39試合で14本塁打の怪力は本物だ。
米国で芽が出ず、15年秋に練習生として初来日。真摯(しんし)な姿勢を貫き、日本の野球を学んできた。あこがれは13年に日本新記録の60発を放ったヤクルト・バレンティンだ。昨季開幕前には先輩ルナに連れられ一緒に食事した。「自信を持って一生懸命、練習しなさい」。パエリアに舌鼓を打ち、バレ砲の言葉にうなずいた。今季中の60発は厳しくても「15~20発は打ちたいね」と鼻息は荒い。
兄、妹の3人きょうだい。ドミニカ共和国で暮らす両親はいつも「頑張ってね」と背中を押してくれる。「喜んでくれると思う。電話で報告するよ」と笑った。
キャンプ中に「近い将来、絶対チームの力になる」と予言していた緒方監督は「技術が上がっていると報告を受けていた。長打力は魅力」とうなずいた。6日から指名打者制があるパ・リーグ主催試合が続くだけに今後も出番は増えそうだ。ドレッドヘアの助っ人が鯉を加速させる。