丸 意地打!諦めない鯉の野球見せた 前夜初の4三振の汚名返上
「交流戦、楽天4-3広島」(11日、Koboパーク宮城)
広島・丸佳浩外野手(28)がカープ野球を体現した。1点を追う八回、楽天のセットアッパー・ハーマンから意地の同点打。パ・リーグの首位相手に悔しい連敗を喫したが、最後まで諦めない姿勢を示し、前日4三振の汚名を返上した。13日からは地元・広島で、交流戦トップを争うオリックス、ソフトバンクとの6連戦。初の交流戦「最高勝率球団」の座を目指し、再スタートを切る。
満員御礼の敵地・Koboパークに歓声と悲鳴が交錯した。2-3の八回、1死二塁。球足の速いゴロが一、二塁間を破った。劣勢の展開でも諦めない。丸が執念の同点打で、試合を振り出しに戻した。
「(初対戦の投手が相手でも)ストライクを打つことに変わりはないので。浮いてきた変化球を、うまく打つことができました」
激走で右足の不安も一掃した。送球がバックホームされる間に二塁へスライディング。さらに捕手からの二塁送球が逸れると、判断よく三塁を陥れた。前日10日の試合はプロ初の4三振。この日も3打席目まで沈黙していたが、最後に意地を込めた。
イヌワシ軍団にカープ野球を印象付けた。八回がその象徴だ。楽天の先発・岸の前に7回まで2得点に封じられながら、セットアッパー・ハーマンを攻略。先頭の1番・田中が四球を選び、2番・菊池は通算201個目のバントで送った。1、2番が作った好機を3番が生かす。丸は「負けましたけど、苦しい展開でも終盤に粘って、ウチらしい野球はできたと思います」と納得顔で振り返った。
逆境に立たされてもチームリーダーらしさを貫いた。7日・日本ハム戦(札幌ドーム)の走塁中に右太もも裏を痛めて途中交代。開幕からのフルイニング出場がストップし、翌日からの出場が危ぶまれた。だが休むことなく、しかも指名打者での出場も可能な中、4試合連続「3番・中堅」で先発出場。試合後は患部を氷のうでがっちりアイシングする姿があった。快調に首位を走るチームを満身創痍(そうい)の体で支えている。
最後は悔しい連敗となったが、札幌-仙台のビジター6連戦は4勝2敗と勝ち越し。緒方監督も前を向いた。 「四球でもらったチャンスから点が取れた。勝ち越しのチャンスもあったけどね。2試合僅差で負けて悔しい思いもある。地元に帰って6連戦を一戦一戦、戦っていきたい」
13日からは広島で交流戦のトップ争いを繰り広げるオリックス、ソフトバンクとの6連戦が待っている。チームに悲壮感はない。全員野球で、初の交流戦「最高勝率球団」の座をつかみに掛かる。