「ヤクルト２－８広島」（８日、神宮球場）

　「ゴー！！」とごう音を立てそうな剛球で、バッタバッタと三振を奪った。薮田が毎回の自己最多タイ１１三振を奪い、巨人・菅野と並んで、ハーラートップタイ８勝目をマーク。「そういう立場ではないので。打線の援護があってのものだと思います」。試合後は謙虚に語り、「今日は完投したかったです」と、悔しさをにじませた。

　失点は初回と七回だけ。「全体的に内容は良くなかった」というが、最速１５３キロ直球にカーブで緩急をつけ、この日はカットボールがキレキレだった。もちろん宝刀ツーシームでもツバメ打線を翻弄（ほんろう）。緒方監督も「ストライク先行でテンポ良く投げてくれた。攻撃のリズムにつないでくれた」と絶賛した。山田、バレンティン、大松のクリーンアップを無安打に抑え、７回３安打２失点。先発転向後無傷の５戦５勝だ。

　ヒーローインタビューでは、支えてくれる人に頭を下げた。「トレーナーさん、ブルペンキャッチャーの方、コーチの方。多くの方に感謝したいです」。投球だけではない。今年５月に結婚。精神的な成長もめざましい。

　ついつい食欲が低下しがちな夏場を迎えても、薮田はエネルギー満タン。モデルで妻のｋａｒｕｎａの手料理が元気の源だ。最近では「塩ラーメンが一番おいしかったです」と照れ笑い。あっさりスープが疲れた体に染みて心もポカポカだ。

　次回の登板はあこがれの球宴。全国の野球ファンへ「薮田スタイル」を披露する。