ピースナイターでまさか逆転負け…優勝M点灯お預けも松山全快弾

 8回、勝ち越しソロを放つ(撮影・北村雅宏)
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 「広島3-4阪神」(2日、マツダスタジアム)

 広島は、まさかの逆転負けで球団史上最速の優勝マジック点灯は持ち越しとなり、阪神の自力優勝の可能性も残してしまったが、嘆くことも慌てる必要もない。同点の八回に松山竜平外野手(31)が一時勝ち越しとなる7号ソロ。粘り強さは健在だ。この戦いを続けていけば、自然と連覇は見えてくる。

 きれいな放物線が広島の夜空に高々と舞い上がった。ピースナイターの夜、スタジアムが揺れた。「どうかなと思って走っていましたけど、入ってくれました」。松山は二塁ベース手前で、ようやく速度を緩めた。一時勝ち越しの7号ソロ。グッと右拳を握った。

 緊迫の展開を一振りで動かした。2-2の八回先頭。それまで3打席無安打に終わっていた男が集中力を研ぎ澄ました。カウント1-1からの3球目を捉え、右翼席へ豪快に放り込んだ。ファンも総立ち。あとは勝利のハイタッチを待つだけだったが…。

 1点リードの九回に悲劇が待っていた。守護神・今村が打たれ、まさかの逆転負け。球団史上最速の優勝マジック点灯はお預けとなった。「もう少し早く打っとけば良かった」と松山。悔しさをにじませたが、左投手からの価値ある一発だ。

 今季は投手の右左を問わず打率3割超をマーク。これまでのイメージを変えつつある。「ずっと試合に出るためには左も打たないといけない。これからもいいものを出して、頑張っていきたい」。正真正銘の左翼のレギュラーまでもう一歩。前日1日の試合では左翼フェンスにぶつかり、左目の下を切るアクシデントに見舞われたが、この日は「大丈夫です」とキッパリ。元気いっぱいグラウンドを駆け回った。左翼の定位置はもう離さない。

 特別な一戦だった。この試合は「ピースナイター2017」として行われ、選手は袖にピースワッペンをつけてプレー。開催10年目。8月6日を前に、ナイン、ファンが平和への思いを共有した。

 勝利で飾ることはできなかったが、王者の強さは示した。緒方監督は好プレー連発の守備陣を称え、先発・大瀬良にも一定の評価を与えた。今村のセーブ失敗も「1回失敗しただけだから」と責めることなくうなずいた。ショックを引きずる負けではない。鯉将は「また明日全力を尽くして戦いたい」と力を込めた。優勝マジックは最短で4日にも点灯する。歓喜のフィナーレまで、全力プレーで突き進む。

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